>  今週のトピックス >  No.1499
雇用動向の現状
●  女性の方が就職・離職が活発
  企業が人材確保に走り、求人市場は売り手市場となっている。それを反映した平成18年の就職・転職・離職状況を厚生労働省が発表した。
  1年間で入職(未就業者の就職と既就業者の転職を合計)した労働者は699万人(17年は748万人)で、前年を49万人下回った。一方で離職者は704万人(17年は756万人)と、これも前年を52万人下回っており、前年に比べて労働移動は落ち着いた。また入職者と離職者がほぼ同数となっている。
  女性の方が男性よりも労働力の移動が活発だ。男性は入職者が340万人、離職者が335万人なのに対し、女性は入職者が359万人、離職者が369万人である。これは、雇用状況の変動が比較的大きいパートタイム労働に女性が多く就業している影響と思われる。ちなみにパートタイムでの入職者は275万人、離職者は262万人と、入離職者に占めるパートタイムの割合は高い。
●  大企業が労働力を吸収
  企業規模による入職・離職の格差はほとんどみられない。ただし1,000人以上の規模だけは、入職が離職者を上回っており、大企業に労働力が移動していることを伺わせる。
  転職による入職者は454万人で、うちパートタイム労働者は158万人を占めている。転職者のうち男性は235万人、女性は218万人だった。
  年齢は若いほど転職率が高い。20〜24歳が17.8%と最も高く、25〜29歳が16.3%、30〜34歳が12.7%、35歳〜39歳が9.2%と続く。
●  若い労働者は個人的理由で離職
  離職者の理由では「個人的理由」が72.4%と最も多く、次いで「契約期間の満了」12.3%、「経営上の都合」7.3%、「定年」4.4%である。
  男性は「個人的理由」「契約期間の満了」に次いで「経営上の都合」が9.8%を占め、「定年」の6.4%を上回っている。女性の離職理由も同じ順で並んでいる。ただし「個人的理由」の内訳をみると、「結婚」「出産・育児」「介護」の割合は男性がそれぞれ1%未満なのに対し、女性は1.8〜4.3%と目立っている。
  年齢階級別では若年層ほど「個人的理由」が多く、50代になると「経営上の都合」が台頭してくる。60代前半では「定年」「契約期間の満了」が6割以上を占め、65歳を過ぎると「契約期間の満了」の割合がほかに比べて高くなる。若い世代では自発的に職を変える動きがみられるが、歳を重ねると会社の都合が大きく影響してくるようだ。
出所:厚生労働省「平成18年雇用動向調査結果の概況」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.09.03
前のページにもどる
ページトップへ