>  今週のトピックス >  No.1510
米国経済に減速感、FRBの利下げが焦点
●  住宅バブル弾ける
  世界経済の好況をリードしてきた米国経済の雲行きが怪しくなってきた。信用力の低い個人向けの米住宅融資、いわゆる「サブプライムローン」の焦げ付き問題が引き金となって住宅バブルが弾け資産価格が低下。消費者心理が冷え、景気や雇用にも影響を与え始めた。米連邦準備理事会(FRB)が9月18日に開く次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を引き下げ、減速に歯止めをかけるかが今後の焦点となる。
  これまで米国経済を引っ張ってきたのは住宅市場だ。移民の流入が続く米国では住宅販売が伸びていて、住宅価格が高騰。資産価格の上昇で消費も活発になり、雇用や景気にも好影響を与えていた。
●  着工件数、価格ともに下げる
  ところがサブプライムローン問題で融資が滞り、住宅着工件数が減少に転じた。米商務省が8月中旬に発表した7月の住宅着工件数は前月比6.1%減少し、1997年1月以来の低水準となった。先行指数となる許可件数も2.8%減り2カ月連続の減少。こちらも10年ぶりの低水準となった。
  米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が8月下旬に発表した4-6月期のS&Pケース・シラー住宅価格指数は、前年同期比3.2%低下した。87年に算出を開始して以来、最大の下げ幅となった。この指数は全米20の主要都市で実際に取引された不動産の価格を元に算出しているため、取引実勢を反映している。
  ケース・シラー指数が発表となった同じ日に米民間調査会社コンファレンス・ボードが8月の消費者信頼感指数を発表した。この数値は105と前月値の111.9から6.9ポイントも悪化。消費者の購買意欲が急速に冷え込んでいる。これを受けて米株価が大きく下げるなどマーケットは経済指標の変化に敏感になっている。
●  雇用が4年ぶり減
  米労働省が9月7日に発表した8月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月と比べ4,000人のマイナスとなり、4年ぶりの減少となった。事前の予想は11万人の増加だっただけに、雇用に急ブレーキがかかったことがよくわかる。
  これだけ経済指標の悪化がそろうとFRBは景気を回復させるため、利下げせざるを得ないというのが大方の見方だ。現在の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は5.25%。これを0.25%引き下げるのか、それとも景況感がかなり悪化していると判断し0.5%下げるのかに注目が集まっている。
2007.09.18
前のページにもどる
ページトップへ