日本経団連が毎年調査している新規学卒者の初任給の実態調査を報告した。2007年4月の新卒採用者である。
  学卒初任給は卒業学歴によって異なるが、大学院卒が223,131円（2006年は221,824円）と前年比0.56％増、技術系はやや高く224,478円である。大学卒では事務系が205，074円（2006年は203,230円）と前年比0.66％の増加となった。技術系は206,579円と事務系よりやや高い。
  高卒では事務系が161,273円（2006年は169,469円）で前年と比べて0.61％の増加、現業系は162,579円である。大学院卒、大学卒とも初任給は1,000円以上アップしており、特に大学卒は1,800円以上引き上げられているのが注目される。

  逆に初任給を凍結している企業は減りつつある。凍結企業が最も多かったのが2003年で全体の91.4％が凍結していた。その後凍結企業の割合は下がり、今年は56.3％と2社に1社の割合まで減っている。昨今、新卒学生獲得が過熱気味である一方、凍結企業がいまだ半数以上あるのは景気の回復が全業種に及んでいないということか。
  大学卒事務系の初任給額を産業別に見ると、最高が「石油・石炭製品」の246,000円で、平均より40,000円以上高い。次に高いのが「新聞・出版・印刷」の223,512円となっている。それ以外に飛び抜けて高い産業はない。最低が「金融・保険業」の187,018円であるが、入社後、大幅に増加するとされている。

  企業規模別に大卒事務系の初任給をみると、企業規模が小さいほど、初任給を高くしている。3,000名以上規模では203,764円だが、1,000〜2,999名で204,621円、500〜999名で206,488円、300〜499名で207,194円、100〜299名で205,949円と企業規模と初任給は反比例している。

出所：（社）日本経済団体連合会「2007年3月卒新規学卒初任給調査結果の概要」

（可児 俊信　ベネフィット・ワン　ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー）