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修正申告書を提出するとかかる税金
●  申告納税方式と賦課課税方式
  日本の課税方法には、申告納税方式と賦課課税方式があるのをご存知だろうか?
  まず申告納税方式とは、納税者自らが税法に従って所得金額や税額を計算し課税当局に申告・納税する方法である。具体例としては、所得税確定申告・法人税確定申告・消費税確定申告などがある。
  次に賦課課税方式とは、課税当局が納付すべき税額を確定し「賦課決定通知書」を納税者に交付して納税する方法である。具体例としては、固定資産税・自動車税・不動産取得税などがある。
●  修正申告
  税務調査の対象となるのは、もちろん申告納税方式による税金である。この税務調査により当初申告した内容に計算の誤りがあった場合や、見解の相違により正しい処理に訂正したため税額が増加した場合に提出するのが修正申告書である。
  さて、この修正申告書を提出すると、本税の他にペナルティとしてかかる税金(附帯税)があるので説明しておこう。
●  過少申告加算税
  過少申告加算税とは、法定申告期限内に提出した申告書に記載された金額が過少であった場合に、増加税額の10%が課される。ただし、増加税額が期限内申告税額と50万円とのいずれか多い金額を超える場合は、その超える部分に対しては15%となる。
  仮に、税務調査等により指摘され修正したものではなく、納税者自らが申告内容の誤りに気づき修正した場合は、この過少申告加算税は課税されない。
●  延滞税
  延滞税とは、納付すべき税額を法定納期限までに納付しなかった場合に、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかる利息に相当する税金である。
  なお、延滞税の利率は現行以下の通りである。
(1)納期限の翌日から2月を経過する日まで
年「7.3%」と「前年の11月30日の公定歩合+4%」のいずれか低い割合
⇒平成18年11月30日の公定歩合0.4%であるため、現行税率は4.4%となる。
(2)納期限の翌日から2月を経過した日以後
年「14.6%」
現金一括払いが可能なら困ることはないが、明らかに、税務署のほうが金融機関での借入利率よりも高くなっている。また、ペナルティ税金は必要経費にはならないことも考慮すると、税金は早期に納付するほうが節税となる。
●  重加算税
  重加算税とは、過少申告加算税が課されているケースでさらに仮装・隠蔽により申告している場合に、その過少申告加算税に代えて課される税金である。ペナルティは大変厳しくなっており、なんと増加税額の35%である。そして、この重加算税の対象となってしまった納税者は、税務署からの印象もかなり悪くなってしまうので全く損ばかりである。
  今までの話は、すべて所得税と法人税を中心に進めてきたが、ペナルティは地方税にも及ぶことを覚えておいてもらいたい。
●  その他の附帯税
  修正申告書を提出することで所得税及び地方税が増加する場合は要注意だ。というのは、日本の行政サービスは所得税及び地方税を基準として行なわれていることが多いからだ。例えば、所得税及び地方税が増加することにより、国民健康保険料や保育料が上がり、児童手当や幼稚園月謝補助金などについて制限を受ける可能性がある。
(今村 京子 社員税理士、マネーコンシェルジュ税理士法人)
2007.09.25
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