>  今週のトピックス >  No.1514
4割の企業が経理財務はすべて税理士等会計専門家に委託
●  経理事務をすべて社内は3.9%
  4割の中小企業が、経理財務に関する事務を税理士など会計専門家にすべて委託していることが、中小企業庁が実施した「会計処理・財務情報開示に関する中小企業経営者の意識アンケート調査」で分かった。調査結果(有効回答数4,272社)によると、経理財務に関する事務は、「仕訳伝票を会計専門家(税理士・公認会計士等)に渡し、外注」という回答が40.2%と最も多かった。
  次いで「総勘定元帳作成まで社内、残りの処理と財務申告は会計専門家に外注」が29.3%、「財務諸表の作成まで一貫して社内、税務申告は外注」が23.1%の順となっており、「財務諸表の作成、税務申告まで一貫して社内」は3.9%だった。会計ソフトの利用状況については、56.8%の企業が「決算書は会計事務所が作成しているので、自社では利用せず」と回答。「決算書を社内で作成し、市販ソフトを利用」は19.3%の企業だった。
●  決算書のデータ活用でのアドバイスは8割強が「税理士」から
  決算書の作成にあたり配慮していること(複数回答)は、「減価償却を毎期必ず行っている」が63.1%、「会計専門家に委ねているので、個別項目の処理方法は把握していない」が35.6%、「在庫の陳腐化や紛失状況を点検、それを反映して棚卸資産を計上」が35.4%など。決算書の利用状況(複数回答)は、「過去の売上と利益について比較を行い、その推移を確認」が87.5%、「貸借対照表の借入額の推移を確認」が47.9%などだった。
  決算書のデータを経営判断に活用するにあたって、69.2%とほぼ7割の企業が、第三者からのアドバイスを「受けている」と回答。第三者の種類(複数回答)としては、「税理士」が83.5%と圧倒的に多く、次いで「公認会計士」(18.1%)と「金融機関」(17.6%)が続く。第三者からのアドバイスについて「役立っている」との回答は、「税理士」「公認会計士」「民間のコンサルティング会社」が80%台となっている。
●  「中小企業の会計」を「知っている」は3社に1社
  また、「中小企業の会計」については、何らかのことを「知っている」と回答した企業は34.5%と3社に1社にとどまった。一方、「何も知らない」企業が62.6%を占めており、「中小企業の会計」の認知度は低い。「中小企業の会計」を知ったきっかけは、「税理士」が45.0%と最も多く、次いで「中小企業診断士」(26.1%)、「新聞・雑誌」(18.8%)などの順となっている。
  「中小企業の会計」の普及には税理士の役割が大きそうだが、税理士意識アンケート結果(有効回答数176人)では、「中小企業の会計」をクライアントに「勧めている」との回答は46.0%、「今後勧めたい」が40.9%と前向きな姿勢が多かった。勧める理由(複数回答)は、「経営者による自社の財務状況の適切な把握に有効」(69.9%)、「金融機関からの信用力強化に有効」(63.4%)、「経営者の財務意識の啓蒙に有効」(59.5%)などが挙げられた。
  なお、「中小企業の会計」に準拠して計算書類の作成を行っていると回答した企業は23.1%で、60.1%の企業が「税理士等に一任しているので分からない」としている。準拠して計算書類の作成をしたことによる効果(複数回答)は、「自社の実態が明らかになり、経営判断が行いやすくなった」が47.9%、「金融機関からの評価(信用力)が上がった」が35.6%となっており、税理士が「中小企業の会計」を勧める理由を裏付ける結果となった。
参考資料:「会計処理・財務情報開示に関する中小企業経営者の意識アンケート調査」↓
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/download/070905kaikei_enquete_houkokusho.pdf
(浅野 宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2007.09.25
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