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企業内託児所にかかわる補助・助成の拡大
●  企業内託児所の設置意欲の高まり
  女性社員や非正社員の一層の定着を目的に、事業所内託児所の設置を検討する企業が増えているが、公的な補助金の後押しも充実し始めた。これまでは、厚生労働省の外郭団体である(財)21世紀職業財団(以下、財団という)からの助成金があったが、今年度から東京都による補助金も始まり、先ごろその詳細が固まった。
  企業内で託児施設を設置・運営する場合に問題となるのがその経費負担の重さである。その額は、施設の建設・改装費や運営費、社員から徴収する利用料などによって異なるため一概に言えないが、負担を軽減するために公的な助成金・補助金を利用できる。助成金・補助金を受けるためには施設や託児体制に一定のスペックが求められるデメリットもあるが、経費面でのメリットは見逃せない。主な助成金・補助金について以下にまとめる。
●  設置費用は最大2,300万円まで補助
  財団の育児・介護雇用安定等助成金(両立支援レベルアップ助成金)の「事業所内託児施設設置・運営コース」は、子育てをする社員が雇用を継続できるよう、企業が一定基準を満たす事業所内託児施設を設置して施設を運営したり、増築・建替え、さらには保育遊具などの購入を行う場合に、その費用の一部を助成するものである。
  施設の要件は財団のHPに詳細があるが、同時に厚生労働省が定める児童福祉施設最低基準での保育所の設備基準にも従うことになる。最低基準では、乳児室または匍匐(ほふく)室、医務室(2歳以上の幼児を入所させる場合は保育室または遊戯室、屋外遊戯場)、調理室および便所を設けること、さらに原則として1階に設けること、所定の防火・防災対策が施されていることなどが掲げられている。
  設置に対する助成金は、設置に要した費用の2分の1であり、上限額は2,300万円。設置に要した費用とは、新築又は購入費など。これ以外に施設の増築や建替えに要した費用も助成対象であり、上限額は費用の2分の1、限度額1,150万円(増築)または2,300万円(建替え)である。
  運営に対する助成金は、年間の運営費用(人件費・建物賃借料)の2分の1であり、1年間の支給限度額は699万円(通常の運営時間の場合、長時間型はさらに加算)である。ただし助成金の支給対象期間は5年間が上限。
●  東京都も2007年度から補助開始
  財団のほかに、東京都では、2007年度から事業所内保育施設補助事業を行っている。補助の概要は財団とほぼ同等である。
  同等である点は、設置に対する補助額で、設置に要した費用の2分の1であり、2,300万円が上限額であり、補助される託児施設の要件もほぼ同じ。また運営費への補助も同額だが、増築費は対象外である。
  財団と異なる点は、まず運営費の補助期間であり、財団が5年間であるのに対して、東京都は3年間。もうひとつの大きな違いは補助金申請時期である。財団は助成金の認可前に施設を着工すると助成対象とならないが、東京都では都による現地確認が済んでいれば申請前であっても工事にかかることが可能である。よって施設開設期限が迫っていても補助金が申請しやすい。
  なお、同じ施設について財団の助成金と都の補助金の両方を受けることはできない。
出所:(財)21世紀職業財団のHP(http://www.jiwe.or.jp/gyomu/support/assist1_1.html)
東京都福祉保健局少子社会対策部子育て支援課資料
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.10.01
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