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寄付金控除の活用
●  寄付金控除という特典
  個人が一定の団体などに寄付金を支出した場合、税法上に設けられた特典に寄付金控除という制度がある。この寄付金控除は、税金から直接控除する税額控除ではなく、14ある所得控除の一つであることを押さえておいてもらいたい。なお、一定の政治献金については所得控除に代えて税額控除を選択することができる。
  さて寄付金控除を受けるためのポイントは二つあり、一つは特定寄付金に該当すること、もう一つは領収書をもらうことである。
●  ポイント1〜特定寄付金の範囲〜
  寄付金控除の対象となる寄付をする先は決まっており、下記のいずれかに当てはまるものをいう。災害義援金を支出した場合には、支払った相手により特定寄付金に該当するかどうか異なるので寄付をするときに確認されたい。
(1)国や地方公共団体に対する寄付金
(2)学校法人、社会福祉法人などの特定の団体に対する寄付金
(3)公益法人などに対するもので財務大臣の指定した寄付金
(4)主務大臣の認定を受けた日の翌日から5年を経過していない特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
(5)特定非営利活動法人のうち、一定の要件を満たすものとして国税庁長官の認定を受けたもの(認定NPO法人)に対する寄付金
(6)特定地域雇用等促進法人に対する一定の寄付金(その寄付をした人に特別の利害が及ぶものを除く)で認定地域再生計画に係る一定の事業に関するもの
(7)一定の政治献金
  ただし、学校の入学に関するもの、政治資金規正法に違反するもの、要するに寄付をした者に直接利害関係があると認められるものは、特定寄付金の対象にはならない。
●  ポイント2〜領収書〜
  寄付金控除を受けるには、確定申告書を提出することとなる。その際に特定寄付金を支出した相手方の発行した領収書等を確定申告書に添付又は提示する必要がある。
  ちなみに郵便為替口座を利用して日本赤十字社に寄付を行なった場合には、通信欄に「受領証希望」と記載すると後日郵送されてくるのでお忘れなく。
●  寄付金控除額の計算方法
  寄付金控除額は次のいずれか低い方の金額から5千円を控除した金額である。
  • その年の特定寄付金の支出額
  • その年の総所得金額×40%(平成18年分は30%)
  例えば、総所得500万円の人が10万円の寄付をした場合には、
  10万円(<500万円×40%=200万円)―5千円=95千円が所得控除となり、税率20%の人ならば19千円税金が安くなる。
  ここ最近の税制改正により、寄付金控除は寄付した人への税務上の特典が厚くなっている。所得格差が問題視されているが、この寄付金は富の再分配を自分の意思で行なえる有効な手段であろう。
●  ふるさと納税
  ふるさと納税とは、総務省「ふるさと納税研究会(座長・島田晴雄千葉商科大学長)」が進めている新しい住民税の納税方法(案)である。これは、納税者が住所地以外に自分の意思で税を納める自治体を選ぶことができる制度である。現在発表されている骨子案においては、寄付金控除方式を採用し、納税者のふるさとへの思いを反映できるような仕組みとなるようだ。
  地方の税収格差問題はさておき、納税者が税金の使われ道に関心を持つことは大いに喜ばしいことである。
(今村 京子 社員税理士、マネーコンシェルジュ税理士法人)
2007.10.09
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