>  今週のトピックス >  No.1522
2006年分民間の平均給与は9年連続減の435万円
●  男性539万円、女性271万円
  2006年1年間を通して民間企業に勤めた給与所得者の平均給与は434万9千円で、前年に比べ1万9千円(▲0.4%)減となり、9年連続の減少となったことが、国税庁がまとめた民間給与の実態統計調査で分かった。近年のパート・アルバイトや派遣社員など非正社員を積極的に採用する企業の動きが、平均給与の押し下げ要因となっていると推測されている。同調査は、全国の約2万1千事業所、約29万2千人の数値をもとに推計したもの。
  調査結果によると、平均給与434万9千円の内訳は、平均給料・手当が前年比1万8千円(▲0.5%)減の367万6千円と減少、賞与も同2千円(▲0.3%)減の67万2千円とわずかながら減少した。雇用の非正社員化の影響が大きいが、景気回復が従業員の給与には及んでいない結果となった。平均給料・手当に対する平均賞与の割合は昨年から0.1ポイント減の18.3%で、昨年分に続き56年分の17.3%以来の低水準となっている。
  男女別の平均給与は、男性(平均年齢44.3歳、平均勤続年数13.0年)が前年比3千円(0.1%)増の538万7千円、女性(同44.0歳、9.4年)が同1万8千円(▲0.7%)減の271万円だった。
●  広がる給与格差
  平均給与を年収別にみると、200万円以下だった人の構成比は、前年から1.0ポイント増の22.8%(1,023万人)と増える一方、年収1,000万円を超える人も同0.2ポイント増の5.0%(224万人)となり、給与所得の格差が広がっている。年収200万円以下の人は21年ぶりに1,000万人を超えたが、これは、パート・アルバイトや派遣社員などの非正社員が増えた結果とみられ、全体の平均給与を押し下げる要因となっている。
  平均給与を事業所規模別にみると、従業員10人未満の事業所においては343万円となっているのに対し、従業員5,000人以上の事業所においては560万円となっている。また、企業規模別にみると、資本金2,000万円未満の株式会社では383万円であるのに対し、資本金10億円以上の株式会社では616万円となっており、企業規模間の格差も大きくなっている。なお、個人企業では261万円だった。
  業種別では、「金融保険・不動産業」(563万円)、「化学工業」(562.7万円)、「金属機械工業」(551万円)の順に高く、一方、最も低いのは「農林水産・鉱業」の297万円だった。
  今回の調査からみると、緩やかに継続する景気回復の波は、給与所得や中小企業には波及していない結果となっている。
●  納税額は定率減税半減などで10.4%増
  なお、1年を通じて勤務した給与所得者総数は4,484万5千人で、前年に比べ▲0.2%(9万1千人)減少し、給与総額も195兆153億円で、同▲0.6%(1兆2,626億円)減少と、給与所得者数、給与総額ともに減少に転じた。
  給与所得者4,485万人のうち、源泉徴収で所得税を納税している人は全体の85.4%を占める3,829万人で前年より24万人(▲0.6%)減少した。また、その納税額は9兆8,925億円、給与総額に対する税額の割合は5.07%だった。納税額(源泉徴収税額)は前年に比べ10.4%(9,295億円)増と3年連続の増加。この納税額の増加は、2006年分の所得税から定率減税が半減されたことなどが影響しているとみられている。
民間給与実態統計調査は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2006/menu/pdf/1.pdf
(浅野 宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2007.10.09
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