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金融商品取引法が施行、丁寧な広告や勧誘が必要に
●  リスク目立つように
  金融商品取引法が9月30日に完全施行された。銀行や証券、保険会社、外為証拠金取引業者などの販売や広告を同一ルールで規制する法律だ。金融機関が不適当な広告、販売資料を配布すると、行政処分の対象になりかねない半面、消費者は株式や投資信託などを購入する際、丁寧な説明を受けられるようになった。
  金商法で大きく変わるのは金融商品の広告と販売勧誘だ。まず広告だが、金融商品のリスクについての表示を強調する必要がある。たとえばこれまで広告の隅に小さな文字で書かれていた投信の販売手数料などは、目立つ位置に記載。金融機関の店頭に置いてあるパンフレットも消費者がリスクを理解しやすい内容に変わった。
  これまで銀行や証券会社には広告規制がなく、不当な表示は公正取引委員会が摘発していた。金商法では金融商品の広告に厳しい規制をかけ、違反した業者は金融庁の行政処分が待っている。
●  投資目的に見合った勧誘
  次に販売勧誘だが、金融機関は顧客の知識や投資目的に見合った勧誘をしなければならない。夜間や早朝、休日などの迷惑な時間帯に、電話や訪問販売で営業する行為は禁止。リスクの高い外為証拠金取引については、顧客が望んでいないのに取引を持ちかけることもできなくなった。
  元本割れのリスクがある金融商品を販売する場合はより詳細な説明が必要だ。「金の価格が上がりそうなので、買いですよ」といった根拠の乏しい説明だと、販売業者は金商法違反に問われることもある。
  購入後に商品や契約内容がおかしいと感じたら、まず販売元の窓口に問い合わせると良い。外貨定期預金や変額保険など長期契約を結んでも、契約時に定めた解約条項の内容によっては、中途解約が認められる場合がある。
●  内部統制制度も導入
  上場企業の情報開示も変わる。「内部統制制度」がその一つ。経営者は内部統制が適正に整備されたうえで有効に機能していることを示す、内部統制報告書を作成する。客観的な裏付けも必要で、監査法人による監査が必要。虚偽記載をすると経営者らに対して懲役5年・罰金500万円以下の罰則がある。
  金融商品の広告・勧誘にしても内部統制にしても、金融機関や企業の負担が重くなる一方で、商品や市場の透明性は格段に上がる。投資家・消費者にとっては金融商品に投資する好機が広がりそうだ。
2007.10.15
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