>  今週のトピックス >  No.1535
定着する雇用延長
●  雇用延長はほとんどの企業で対応済み
  昨年の高年齢者雇用安定法の改正施行により、2006年4月から65歳までの雇用の確保が義務付けられた。義務付けられる年齢は段階的に引き上げられることになっており、2009年度末までは63歳、2012年度末までは64歳とし、2013年度からは65歳となっている。
  雇用延長の具体的な方法は、(1)定年を廃止する、(2)定年を引き上げる、(3)継続雇用制度を導入する、のいずれかである。
  厚生労働省では、本年6月1日時点での雇用延長の現状を調査した。
  まず何らかの雇用延長の対応を行っている企業は、全体の92.7%であり、前年同期での調査より8.7ポイント増加しており、ほとんどの企業で雇用の確保が行われている。
●  定年の廃止・延長はわずか
  雇用確保の制度の内訳は、まず定年がないとする企業は2.1%に過ぎず、ほとんどすべての企業で定年制があると回答した。定年を引き上げたのは12.1%にとどまっている。それに対して定年は60歳のままで継続雇用制度を導入した企業が85.8%と大部分を占めている。
  継続雇用の対象となるのは希望者全員とする企業が38.8%と、4割の企業では希望者は全員引き続き働くことができる。基準を労使協定で定めて、その基準に基づく継続雇用制度を導入した企業が42.3%、労使協定が調わず就業規則などで基準を定めた企業が18.9%となっている。
  なお、雇用の延長を65歳でなく、70歳までとした企業は、全体の11.9%と1割を超えている。
●  60歳以上の労働者は大幅に増加
  厚生労働省によれば、雇用延長の結果、60歳〜64歳の労働者は2年間で21万人増加して99.5万人であるという。また65歳以上の労働者も12.5万人増加して、39万人に延びたという。
  今後の厚生労働省の対応は、いまだに雇用延長ができていない企業への助言・指導の強化をすすめる。また雇用延長の対象者の基準を労使協定ではなく就業規則などで定めている企業には、雇用確保の一層の充実に努めるよう働きかけていく。
出所:厚生労働省「平成19年6月1日現在の高年齢者の雇用状況」等
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.11.05
前のページにもどる
ページトップへ