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妻の再就職でも変わらない夫の「家事・育児時間」
●  時間データで見る「仕事・家事・育児時間」の実態
  財団法人家計経済研究所が発表した「消費生活に関するパネル調査」の結果によると、常勤の妻の「仕事・家事時間」(通勤・仕事・家事・育児に費やす時間の合計)は、平日で約1時間、休日で約4時間、夫より長いことがわかった。また、夫の「家事・育児時間」は、仕事に就いていない妻が再就職する前と後では、ほとんど変わっていないこともわかった。
  この調査は、財団法人家計経済研究所が1993年(第1年度調査)から行なっており、今年で第14 年度調査(2006 年10 月実施)となる。調査内容をみると、家計については、収入・支出・貯蓄、借り入れ・消費者信用、耐久消費財の保有状況、家計管理形態を対象とし、また、生活行動・意識については、就業・生活時間、生活上の出来事、転居と生活環境、結婚観と就業観など、非常に広範囲を対象として調査している。また夫側の情報についても、就業・生活時間などを調査している。今回の回答者は、全体で1,769 人の女性(27 歳〜47 歳、うち有配偶者1,241 人、無配偶者528 人)となっており、当該年齢の女性にとって家計行動の中で重要な位置を占める結婚や育児等の問題が浮き彫りとなっている。
●  夫婦生活において、妻の負担は夫より大きい
  調査結果を見てみると、妻の平日は仕事の有無に大きく左右されており、通勤・仕事時間が長い場合には、家事・育児時間、趣味・娯楽・交際時間や基礎時間(睡眠、食事、入浴、身の回りの用事など)が削られていることが分かる。一方、夫の平日については、妻の働き方による違いは小さく、家事・育児時間は1時間に満たないという非常に短い結果となっている。また、仕事・家事時間の夫婦差を計算してみると、平日については「常勤」の妻は夫よりも仕事・家事時間が1 時間近く長く、休日では、4時間も妻のほうが長いことが分かった。働く妻は、平日も休日も仕事と家事の二重負担という大変な状況にあることがうかがえる。
  次に、妻が再就職した際の夫婦の生活時間を見てみると、再就職した年の妻の生活時間は、仕事時間が平均で5時間弱増えているが、家事・育児時間は3時間弱しか減少しておらず、これは、差し引き約2時間分を趣味・娯楽・交際時間、睡眠時間などを削っていると考えられる。一方、夫の生活時間を見ると、妻の再就職前と再就職後ではほとんど変わっておらず、どうやら妻が再就職したからといって家事・育児に協力するようになるわけではないようだ。
●  夫婦生活は、夫の協力がカギを握る
  夫婦そろって働いていることが多い現在、家事・育児については妻に任せるといった考えは改めなければならない時期が来ているのではないだろうか。実際、長時間働く妻のストレスは大きく、特に、長時間のパートをしている妻は、夫婦関係の不満も高くなっているようである。妻も仕事で疲れているし、時間がないのである。夫は、平日も積極的に家事・育児に取り組み、妻が抱える仕事と家事の二重負担を少しでも軽くすることが、これからの夫婦生活を円満にする秘訣ではないだろうか。
出所:財団法人 家計経済研究所 「消費生活に関するパネル調査」について
http://www.kakeiken.or.jp/press/p14pressrelease.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2007.11.05
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