>  今週のトピックス >  No.1543
パートタイム労働者の就労の現状
●  6割の事業所でパートを雇用
  平成19年度からのパートタイム労働法の施行を前に、厚生労働省はパートタイム労働の実態を調査し結果を公表した。なお調査時点は平成18年10月となっている。
  まずパートタイム労働者(以下、パート)を雇用している割合は61.0%(平成13年の前回調査では56.6%)である。産業別にみると、パートを雇用している事業所は「飲食店、宿泊業」が91.3%と最も多く、次いで「医療、福祉」83.3%、「教育・学習支援業」79.2%となっている。
  事業主がパートを雇用する理由は、人件費が割安なため(労務コストの効率化)」が71.0%(前回65.3%)と最も多く、次いで「1日の忙しい時間帯に対処するため」39.5%(前回39.2%)、「簡単な仕事内容のため」36.3%(前回31.4%)となっている。1時間当たりの賃金額が正社員よりパートの方が低いとする理由(3つまでの複数回答)をみると、「勤務時間の自由度が違うから」とする事業所の割合が最も多く72.7%、次いで「正社員には企業への貢献がより期待できるから」がそれぞれ32.9%となっている。
●  正社員との賃金格差には納得
  パートのうち、「同じ仕事を行っている正社員がいる」のは56.8%、これらの者について正社員と比較した賃金等処遇面への意識をみると、「正社員より賃金は低いと思うが、納得できる」が40.0%と最も多くなっている。先ほど見た賃金が低い理由にあるように、正社員の時間拘束や会社からの期待度がパートと違うため、賃金差にも納得しているようだ。
  パートは賃金において正社員を下回っているが、賃金以外の各種手当・制度等の実施状況(複数回答)をみると、「通勤手当」の実施割合が最も多く68.4%(前回66.6%)となっており、次いで「社内行事への参加」が55.1%(前回59.6%)、「定期健康診断」が50.3%(前回51.4%)となっている。
●  パートで働くのは自分のため
  パートで働いている理由(複数回答)をみると、「主たる稼ぎ手ではないが、家計の足しにするため」が53.9%と最も多く、次いで「自分の学費や娯楽費を稼ぐため」31.0%、「生きがい・社会参加のため」30.8%の順となっている。これは生計のためというより、自分のためといえる。
  パートとしての働き方を選んだ理由(複数回答)をみると、「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」が50.3%と最も多く、次いで「勤務時間・日数が短いから」38.1%、「正社員として働ける会社がないから」23.8%の順となっている。必ずしも正社員志向は強くない。よって、今後の就業に対する希望について、「パート等で仕事を続けたい」が68.4%(前回62.9%)、「正社員になりたい」では18.4%(前回15.6%)と少ない。
出所:厚生労働省「平成18年パートタイム労働者総合実態調査結果の概況」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.11.19
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