>  今週のトピックス >  No.1545
パートタイマーの6割以上が賃金や仕事に不満
●  パート労働者は増加傾向
  パートタイム労働は経済社会に欠かせない存在であり、今後このパートタイム労働対策を効果的に推進していかなければならない。政府は、その就労状況等の実態把握を行うため、このたびパート労働者実態調査を行った。この調査は、平成13年にも行われており、一部調査対象や調査内容が違っており正確には比較できないが、大いに参考にしたいところである。今回の調査結果によるとパート労働者の6割以上が賃金や仕事に不満を持っていることが明らかとなった。またパート労働者等が平成13年調査より、約90万人も増加しており、今後の動向が気になるところである。
●  パートタイム労働法の改正でどのような影響があるのか?
  少子高齢化、労働力人口減少社会で、パート労働者が能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、パートタイム労働法が改正されることになった。平成20年4月より施行されることになっているが、雇用管理に与える影響はかなり大きいと予測される。今回の改正では正社員(通常の労働者)と同視すべきパート労働者※1のすべての待遇について、パート労働者であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止される。
  またパート労働者から正社員への転換するチャンスを正社員への転換を推進するための措置を講じることについても義務化される。具体的な例として、「正社員のポストを社内公募する場合、すでに雇っているパート労働者にも公募する機会を与える」とか「パート労働者が正社員への転換するための試験制度を設けるなどの転換制度を導入する」などを挙げている。いずれにしても企業側にとってはかなり厳しいものだが、法改正をきっかけにパートタイマーの労働条件を含めた雇用環境も改善されれば、不満や不安は軽減されるのではないだろうか。
●  パートの不安や不満の解消のために、できることは何か?
  パート労働者の63.9%が会社や仕事に「不安や不満がある」と回答している。前回の調査時より、不安や不満を持っている人の割合は上昇している。その内容(複数回答)は「賃金が安い」(61.8%)がトップで、「有給休暇が取りにくい」(26.2%)、「パートの仕事としてはきつい」(24.1%)と続いている。
  パートの不安や不満解消のためには、できることからまず取り組みたいところである。各企業により状況は違うのでできることの範囲も異なっているが、一番理想的なのはパートにも正社員と同様に各種制度の導入や手当を支給することではないだろうか。例えば、通勤手当の支給、社内行事への参加、健康診断の実施のほか、その他にも出費が少なくてもできることはたくさんあるはずである。また就業形態の転換可能な制度をつくり比較的容易にパートから正社員になりやすい制度などを創設するのも1つの方法である。
  パートタイマーのやる気は、企業の生産性に大きな影響を与えることは確かであり、今後はこのような調査結果を参考に不満と不安を解消していきたいところである。
※1 正社員(通常の労働者)と同視すべきパート労働者とは、『(正社員と職務(仕事の内容や責任)が同じで、人材活用の仕組み(人事異動の有無や範囲)が全雇用期間を通じて同じで、かつ、契約期間が実質的に無期契約となっているパート労働者』のことをいう。
参考:厚生労働省 パートタイマー労働法改正のリーフレット
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1b.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2007.11.19
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