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会計検査院、税金の徴収漏れ約8億円を指摘
  会計検査院がこのほど公表した2006年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは451件、310億6420万円に上った。前年度に比べ、指摘件数は4.7%減、指摘額では31.4%減とともに減少したが、指摘件数は、報告書の掲載基準が現行と同じになった1978年度以降では昨年度の473件に次いで過去2番目に多い件数だった。指摘金額は過去7番目。
●  徴収不足額は前年度より約3億円増加
  財務省に対しては、税金の徴収額の過不足8億2131万円が指摘された。指摘されたのは137税務署で、納税者252人から税金を徴収するにあたり、徴収額が不足していたものが244事項8億518万円、徴収額が多過ぎたものが8事項1613万円だった。前年度は、109署において徴収不足が173事項、4億8558万円、徴収過大が9事項、3016万円だったので、徴収不足は約3億円増加したことになる。
  徴収が過不足だった252事項を税目別にみると、「法人税」が143事項(うち徴収過大2事項)で最も多く、以下、「申告所得税」69事項(同1事項)、「消費税」18事項(同1事項)、「相続・贈与税」19事項(同4事項)、「源泉所得税」3事項となっている。これらの徴収不足額や徴収過大額があった252事項については、会計検査院の指摘後、すべて徴収決定または支払決定の措置がとられている。
●  職員の不正行為による不当支出が207万円
  会計検査院の報告では、国税職員の不正行為による不当金額(支出)1件、207万円がある。これは、東京国税局の柏・麻布両税務署において、職員が、2005年3月から2006年11月までの間に、還付事務を処理するシステムの端末機を不正に使用して、虚偽の還付金の支払決議書等を作成するなどして自己名義の預金口座に振り込ませ、還付金計207万4400円を着服していたもの。損害額は、2006年12月に同職員から返納されている。
●  外国への長期出張にかかわる日当・宿泊料の算定の不適切さを指摘
  そのほか、会計検査院の報告では、外国へ長期出張する職員に対する日当や宿泊費の算定が適切に行われるように改善させたものがあった。国税庁では、外国への長期出張に対する日当や旅費については旅行先の区分に応じた定額により算定することとされており、高い単価から順に指定都市、甲地方等の区分となっている。
  そこで同庁では、2005、2006両年度のアメリカのワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルスへの出張については3都市が指定都市に該当することから、指定都市の単価を適用して日当や宿泊料を算定していた。しかし、長期出張職員は国税庁が現地で借り上げた事務所に宿泊するとともに、3都市における仕事やその仕事のための活動は現地事務所を拠点として行っており、その所在地はいずれも甲地方になっていた。
  このように、実際の仕事の拠点や宿泊場所が現地事務所であるにもかかわらず、指定都市の単価を適用して日当等を支給していたことは不適切だとして、甲地方の単価により修正計算すると、日当や宿泊料は計566万円節減できたと指摘した。国税庁では、今年9月に事務取扱要領を制定し、仕事の拠点である現地事務所の所在地を旅行先とする取扱いとし、旅行命令簿および旅費請求書に現地事務所の所在地を明記することとしている。
(浅野 宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2007.11.19
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