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配偶者控除、誤りやすい実務上のポイント
●  配偶者控除の要件
  年末調整シーズンということで、今回と次回の2回にわたって、配偶者控除と扶養控除の実務上のポイントを解説していきたい。今回は配偶者控除を取り上げる。
  まずは配偶者控除の要件から確認しておこう。具体的には以下の4つの要件を満たした場合に38万円の控除が受けられる。
(1)民法上の配偶者であること
(2)納税者と生計を一にしていること
(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること
(4)原則として、青色事業専従者や白色事業専従者でないこと
●  要件確認のポイント
  要件を順番に確認していこう。
  まず大前提として、民法上の配偶者でなければならないため、内縁の妻などの場合には適用できない。また配偶者が外国人であっても、日本で式を挙げ、婚姻届を提出したような場合には、配偶者控除の適用対象となる。
  次に「納税者と生計を一にしている」ことが要件となる。ただし、ここでいう「納税者と生計を一にしている」というのは、必ずしも同居している状態を指すわけではない。たとえ別居中であっても、生活費を仕送りするなど相手を扶養している状態であれば、適用対象となる。
  また、年間の合計所得金額は38万円以下という条件がある。給与収入のみの場合には、収入金額で103万円以下であれば配偶者控除の対象となってくる。しかし、それを超えた場合でも、所得金額76万円未満(給与収入のみであれば、141万円未満)であれば、配偶者特別控除の適用がある。ただし、こちらは配偶者特別控除の適用を受ける者の年間合計所得が1,000万円を超えると適用できない上、控除額も配偶者の所得が増えるに従って減額される。
  事業所得のある方は、事業専従者との関係にも注意しなければならない。事業専従者となっている配偶者は、青色、白色に関わらず、基本的には配偶者控除の適用を受けることはできない。ただし、給与の支払いのない青色事業専従者に限り、配偶者控除の適用を受けることができる。
●  適用のポイント
  では具体的な適用のポイントをいくつかご紹介していきたい。
  まず、配偶者控除は夫婦どちらで適用してもよい。一般的には夫が妻を対象として配偶者控除の適用を受けるパターンが多いが、事情により、夫が年の途中で退職し、妻の収入の方が多いというような場合では、夫を対象として妻が配偶者控除の適用を受けることも可能である。配偶者控除は継続適用が要件とはされていないので、その年の状況によって、適用関係が逆になっても全く構わない。臨機応変に対応していただきたい。
  また、年の途中で配偶者と離婚した場合には、その年の配偶者控除は受けられない。配偶者控除を受けるための要件判定は12/31現在の状況で判断されるためである。よって、離婚後に再婚した場合でも、配偶者控除はもちろん1人分しか受けられないこととなる。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2007.12.03
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