>  今週のトピックス >  No.1554
近づく年末調整の時期、早めの準備を!!
●  昨年と比べて変わった点
  今年も年末調整を行う時期が近づいてきた。1年間の給与収入が2,000万円以下の給与所得者は、通常、年末調整が行われる。年末調整の基本的な仕組みは昨年と変わらない。
  ただし、定率減税が、2006年分から半減され、今年分以降の所得税については適用がない。また、所得税から住民税への税源移譲に伴い、所得税率が5%〜40%の6段階となって、年末調整の際に使用する速算表も変更になっているので注意したい。
  そのほか、損害保険料控除が改組され、損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料等の合計額(最高5万円)を総所得金額等から控除する地震保険料控除とされた。また、税源移譲に伴い、住宅借入金等特別控除が受けられなくなる部分がある場合は、その減少分を住民税から控除できるように、源泉徴収票の摘要欄に「住宅借入金等特別控除可能額」を記載することとなっているので忘れないようにしたい。
●  各種申告書を早めに提出してもらう
  年末調整を行うためには、12月分給与の支払日の前日までに従業員に色々な書類を提出してもらう必要がある。まず、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や「配偶者特別控除申告書」がある。また、2007年中に支払った生命保険料や地震保険料を申告する「給与所得者の保険料控除申告書」では、生損保会社が発行する保険料を支払ったことを証明する書類の添付が必要になるので申告書と合わせて提出してもらうことになる。
  さらに、住宅ローン控除の適用が2年目以降の従業員は、その税額控除を年末調整で行うことができるが、必要書類がある。それは、「住宅借入金等特別控除申告書」に、金融機関が発行する「年末残高等証明書」、従業員が住む所轄税務署長が発行する「住宅借入金等特別控除証明書」を添付する必要がある。最後の書類は、前年以前の年末調整ですでに住宅ローン控除の適用を受けている従業員は申告書への記載で省略することができる。
●  申告書の内容確認が不可欠
  年末調整における主なポイントは、(1)年末調整の対象となる人・対象外の人の選別、(2)上記申告書の提出及び記載内容の確認、(3)家族の所得金額を確認させるなどだ。
  例えば、扶養控除等申告書は原則今年初めに従業員からもらっているが、変更があったのに変更されていない場合や、扶養親族の所得が控除要件の金額を超えていたりすると、年末調整が正しく計算できない。申告書の記載内容や家族の所得金額に変更がないか確認しておく必要がある。
  このように、年末調整のために従業員から提出してもらう書類は色々あり、その記載内容の確認が必要になるので、従業員に早めに知らせ、早めにそろえてもらい、スムーズな年末調整の事務が行るように心がけたいものだ。
  なお、年末調整の終了後に、給与の追加支給や所得控除額の異動などがあった場合には、2007年分年税額が変わることになることから、年末調整の再計算をしなければならないので、注意が必要だ。
参考資料:「年末調整のしかた」(国税庁)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2007/pdf/00.pdf
(浅野 宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2007.12.03
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