>  今週のトピックス >  No.1555
従業員からみた雇用延長
●  従業員の3/4が雇用延長を希望
  先般、本トピックスで、雇用延長の現状に関する厚生労働省の調査結果を報告した。今回は、まもなく雇用延長の対象となる57〜59歳の正社員が雇用延長にどのような希望を持っているかについて、厚生労働省の外郭団体が調査したので、その結果を報告する。
  まず60歳定年以降も「収入のある仕事を続けたい」とする回答は74.4%、「続けたくない」はわずか9.7%であった。「自社での継続雇用を希望するか」という問いには、79.7%が「希望する」と回答している。先般の厚生労働省の調査でも、何らかの雇用延長の対応を行っている企業は、全体の92.7%であり、雇用延長者の希望はほぼ叶えられるのではないか。ちなみに、自社での雇用延長を希望しない理由は、「自分のやりたい仕事ができないから」「余剰扱いされるから」「職場の雰囲気がよくないから」「他社に転職したいから」である。また60歳以降に収入のある仕事を「続けたくない」という理由は、「趣味やボランティアなどの社会活動に参加するから」「健康がすぐれないから」「親などの介護があるから」などがあった。
●  半数以上が正社員での雇用を希望
  次に雇用延長時の雇用形態について尋ねた。希望する雇用形態は、56.5%が「正社員」と回答している。「契約・嘱託」が29.6%、「パート・アルバイト」が5.9%と続く。一方、可能性が大きい雇用形態を尋ねると、「正社員」は11.0%に止まり、「契約・嘱託」が71.1%と大部分を占め、正社員として引き続き働きたいものの、非正社員の身分で働くことになるようだ。
  勤務時間は、51.2%が「フルタイム」を希望するものの、「短日数」が17.7%、「短時間」が8.0%、「フレックス」が7.8%と、柔軟な働き方を望む回答が多い。
●  現状の雇用延長は従業員には不満足
  このほかに、希望する事項を尋ねたところ、「継続雇用の賃金の向上」を望む回答が85.5%、「これまで培った技能などを生かせるような配置」が84.4%、「希望者全員が継続雇用される」が79.8%、「継続雇用の基準を今より具体化する」が75.3%、「退職準備教育・生活設計セミナーの内容の充実」が72.0%、「継続雇用の基準を緩和する」が71.5%と、要望事項は非常に多く、まだまだ不満足な制度といえる。
  スムーズな雇用延長が実現するには、まだ時間がかかりそうである。
出所:(独)労働政策研究・研修機構「60歳以降の継続雇用と職業生活に関する調査」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.12.10
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