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所得控除活用のポイント
●  収入は所得とは違う
  年末調整の時期となり、普段は税金と縁の薄い人も税金に関心なしではいられないことだろう。税金をいかに少なくするのかは、税金が課税される仕組みを理解していただけるとわかりやすい。申告納税方式が採られている所得税が課税される仕組みを、サラリーマンのような給与所得者を例にとって説明しよう。
  まず、収入金額−必要経費=所得金額を求めることとなるのだが、給与所得者の場合には、収入金額は給与額面に該当し、必要経費とは給与所得控除に該当する。この給与所得控除は収入に応じあらかじめ税法上定められているもので、会社に着ていくスーツ代、業務上必要な知識を得るための書籍代やお付き合いでの交際費等の負担額を自分で領収書を保管し計算しなくとも経費として認めてくれているのだ。(通常給与額面の20〜30%に相当)
  次に所得金額−所得控除=課税所得金額を求める。この課税所得金額に所得税率を乗じて所得税額が算出される。ここで、所得控除を差し引く理由は、各人における諸事情を税法上考慮してくれる意味合いがあり、この所得控除を大きくすることが税金を少なくするポイントだ。
●  所得控除
  全部で15種類ある所得控除のうち、前回と前々回で所得控除の代表でもある扶養控除と配偶者控除を説明してきた。なお、雑損控除・医療費控除・寄附金控除の3種類は確定申告でしか適用できないので今回は省略する。
  残り10種類の所得控除について給与所得者を基準として簡略に説明していく。
(1)社会保険料控除
  会社から天引きされている金額の他に、子どもの国民年金保険料を負担した場合は、証明書の添付が要件だが本人の社会保険料控除に入れてよい。
(2)小規模企業共済等掛金控除
  小規模企業共済掛金、心身障害者扶養共済掛金、いわゆる日本版401Kの個人型年金の加入者掛金がある。小規模企業共済掛金は年間で最高84万円も所得控除でき節税効果は大きいが、加入できる要件が決まっている。
(3)生命保険料控除
  うっかり「生命保険料控除証明書」を紛失してしまい、12月に入ってから生命保険会社等に再発行を申請する場合、会社の年末調整事務処理を行うまでに再発行が間に合わないことがある。この場合は翌年1月31日までに会社に提出することを要件に控除を行ってもよい((4)の地震保険料控除も同様の取扱い可)。
(4)地震保険料控除
  前年までは損害保険料控除としてあったものが、今年から内容も新たに名称が変わった。支払った地震保険料に対し最高5万円の控除となる。ただし、平成18年12月31日までに契約した長期損害保険料控除(最高1.5万円)については経過措置により引き続き存続し、地震保険料控除と合わせて最高5万円の控除となる。残念ながら短期損害保険料控除は廃止となった。
(5)障害者控除
  障害者手帳の交付有無によって判定する場合と実態に応じ判断する場合がある。前者は例えば、身体障害者手帳の交付を受けている人のうち障害の程度が1級または2級の人は特別障害者となり、それ以外は障害者となるので判断しやすい。一方、後者の取り扱いを知らない人が多いと思うが、例えば「常に就床を要し、複雑な介護を要する人」は特別障害者に該当する。これは、あくまでも所得税法上特別障害者に該当するということで介護保険の認定とは別物と考えていただきたい。
(6)寡婦控除
  老年者控除が廃止されたことに伴い、寡婦控除が適用される人がいる。特に夫と死別された人で合計所得金額が500万円以下の人は忘れずに適用されたい。
(7)勤労学生控除
  一定の学生アルバイト本人に加算される控除である。給与等の合計所得金額が65万円以下(うち勤労以外の所得が10万円以下に限る)の学生に対して勤労学生控除が27万円加算される。従って、給与所得だけであれば給与額面130万円までは所得税は非課税となる。
(8)老人配偶者控除
  70歳以上(今年は昭和13年1月1日以前出生)の配偶者を扶養している人には、扶養控除38万円に老齢分10万円が追加されて48万円の控除額となる。会計ソフトで年末調整を行う場合は、生年月日を入力するだけで判定してくれるが、手計算を行う場合には忘れがちになるので覚えておいて欲しい。
(9)配偶者特別控除
  配偶者の給与収入金額が103万円の壁を突破してしまった場合には配偶者控除はなくなるが、給与収入金額103万円超141万円未満の場合には配偶者特別控除が適用される。この配偶者特別控除について以前は配偶者控除と重複適用できたが、現在は不可なので注意されたい。(ただし、本人の合計所得金額1000万円以下の場合に限る)
(10)基礎控除
  全員に38万円の基礎控除がある。
(今村 京子 社員税理士、マネーコンシェルジュ税理士法人)
2007.12.17
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