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来年の確定申告から初適用となる電子証明書等特別控除
●  給与所得者も適用となるが、提出期限に注意
  2007年分の確定申告は来年2月から始まるが、電子証明書等特別控除が初めての適用となるので、ここで改めて同制度の留意点を紹介したい。この制度は、個人事業者などが確定申告を電子証明書に添付して電子申告(e-TAX)で行う場合、所得税額から最大5,000円を控除するものだが、年末調整で課税関係が終了する給与所得者についても、電子証明書を添付して電子申告をすれば、還付が受けられる。
  給与所得者が確定申告する場合は医療費控除や住宅ローン減税などの還付申告が多いと思われる。通常の還付申告は、その年の1月1日から5年間提出することができるが、この特別控除では申告書の提出期限が定められているので要注意だ。具体的には、2007年分であれば、2008年1月4日から3月17日までの間、2008年分であれば2009年1月5日から3月16日までの間に電子申告した場合に限られる。
  この特別控除は、2007年分または2008年分の確定申告において、上記の申告期限までに自己の電子署名を添付して電子申告した納税者が対象となる。5,000円(その年の所得税額を限度)を控除できるのは、2007年分か2008年分かどちらか1回に係る電子申告での適用となる。例えば、2007年分の所得税額が3,000円であれば、2007年分の特別控除額は3,000円だが、残りの2,000円を2008年分で控除してもらうことはできない。
●  還付申告は申告不要所得も加算
  ところで、還付申告の場合は気をつけるべき点がある。というのは、電子証明書等特別控除を受けるために還付申告書を提出する場合には、確定申告不要とされていて実際に申告しなかった所得があるときは、その所得金額を加算して申告しなければならないとされているからだ。
  確定申告不要とされる所得は、給与所得者でその給与所得の収入金額が2,000万円以下で、1カ所のみから給与をもらっている場合には、給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円以下であるときとなる。また、2カ所以上から給与をもらっている場合には、年末調整を受けない従たる給与の収入金額と給与所得、退職所得以外の所得の合計額が20万円以下であるときが該当する。
  さらに、2カ所以上から給与をもらっている場合で、上記に該当する場合を除き、給与の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の所得控除を差し引いた金額が150万円以下で、かつ、給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円以下であるときも、確定所得申告を要しない所得とされる。
  ところが、これらの規定は、特定の給与所得者について給与所得以外の少額な所得の申告の手間を省くとともに、税務行政の簡素化を図る趣旨から定められているものとみられており、給与所得以外の少額所得を非課税とするものではないのだ。したがって、電子証明書等特別控除を適用するために還付申告書を提出する場合には、確定申告不要とされている所得も加算して申告しなければならないので注意したい。
●  税理士代理の場合は納税者本人の電子証明書が必要
  なお、今年の1月から税理士が代理で税務書類を作成し、納税者に代わって電子申告する場合は、納税者本人の電子署名は省略可能となったが、この場合には特別控除の適用はない。適用を受けるためには、税理士に依頼する場合も納税者本人の電子証明書が必要になる。控除適用のためには、地方自治体から電子署名に係る電子証明書(住民基本台帳カードに格納)を取得する必要等があるので、早めに準備したい。
(浅野 宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2007.12.17
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