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自民党、平成20年度税制改正大綱を発表
●  平成20年度税制改正、おおむね予想通りか
  自民党は12月13日、予定通り平成20年度税制改正大綱を発表した。ざっと見る限りでは、おおかた事前の予想通りといった印象だ。平成16年度税制改正における「不動産譲渡損失(一定の居住用除く)の損益通算廃止」や、平成18年度税制改正における「特殊支配同族会社の業務主宰役員給与損金不算入」といったサプライズは見受けられない。
  例年であれば、この大綱の内容がほぼそのまま国会を通過するのが通例だが、今回はいわゆる“ねじれ国会”の影響でどうなるか予断を許さない状況である。以下、大綱の内容の一部を中小企業に影響する項目を中心に、簡単にご紹介していきたい。
  尚、ここでご紹介するのはあくまで、自民党が発表した税制改正大綱の内容の一部であり、全ての項目はご紹介できない。また前述の通り、国会を通過するまでは正式な確定事項ではないため、その点はご了承いただきたい。
●  研究開発促進税制・情報基盤強化税制
  現在の研究開発促進税制では、平成20年3月末までの時限措置として、当期法人税額の最大20%までの税額控除を認めている。今回の大綱では、控除金額の算定方法を一部追加した上で、当期法人税額の最大30%まで税額控除が受けられるように拡大し、期限を平成22年3月末まで延長することとしている。
  また情報基盤強化税制では、資本金1億円以下の青色申告法人の場合、現行では一定のサーバーやソフトウェアを年間300万円以上購入しなければ適用が受けられないが、その最低限度額を70万円に引き下げた上で、期限を平成22年3月末まで延長することとしている。
●  耐用年数の見直し・人材投資促進税制
  機械装置の法定耐用年数も大幅に見直すこととしている。現行では、機械装置は390区分に分けられた上で、それぞれ法定耐用年数が定められており、実務上も耐用年数の判断が非常に困難となっているため、これを55区分に簡素化するとしている。
  また人材投資促進税制は、中小企業を対象に大幅に拡充することとしている。現行では、当期の教育訓練費の金額が過去2期平均より上回っていなければ税額控除の対象とならないのだが、この増加要件を撤廃した上で、当期の教育訓練費が一定金額を超えれば適用を受けられることとしている。
●  事業承継税制
  また中小企業に対する事業承継税制が、平成21年度税制改正において大きく改正されることが明記された。現行では、非上場株式等に対する優遇措置は、小規模宅地等の80%減と異なり10%減とされているが、これを一定の要件を課した上で、80%に対応する相続税を納税猶予する制度に拡充することとしている。
●  中小企業関連その他
  最後に中小企業に関連するその他の項目をいくつかご紹介しておく。
  交際費の400万円以下90%損金算入の特例や、30万円未満の少額減価償却資産の特例、創業5年以内の中小企業に対する欠損金繰戻還付特例などの時限措置は、全て2年間延長とされている。また、税務署や国税局への個別案件の事前照会も対象となる取引が拡大され、回答手続を改善することとされている。
●  証券優遇税制
  なお、直接中小企業に影響する項目ではないが、話題となっていた証券優遇税制については、譲渡所得、配当所得とも優遇税率は平成20年末をもって原則廃止とした上で、譲渡所得は500万円以下、配当所得は100万円以下の部分のみ、平成22年末まで10%の軽減税率を適用できるとしている。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2008.01.07
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