>  今週のトピックス >  No.1569
増加している企業の採用コスト
●  正社員、アルバイトを問わず採用が難しい現状
  ソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社の発表によると、4社に1社が過去1年と比較して年間の「採用コスト」が増えたと回答していることが分かった。また、新卒採用にかかる年間コストは平均1,322万円であることも分かった。
  この調査結果は、同社が運営する転職サイト「イーキャリアプラス」が企業の採用担当者を対象にインターネット上で行った採用活動の実態調査の結果である。今回の調査結果は、労働人口の減少、若年労働者の減少を背景に企業の採用が難しくなっている現状を如実に表す結果といえるだろう。採用が難しい状況は、正社員の場合だけではない。アルバイトも例外ではなく、アルバイト応募者が面接に行くと1,000円分のEdyをプレゼントしている企業もある。こうした中で、少しでもより良い人材をより多く採用するためには、どうしても採用コストが高くなってしまうのであろう。
●  採用コストの増加から分かる企業が抱える悩み
  調査結果を見てみると、過去1年と比較した年間採用コストの増加について、全体平均では24.0%が増えたと回答しており、減ったと回答したのは、わずか8.7%にすぎない。
  また、年間採用コストは、新卒、第2新卒、中途採用のいずれにおいても増加しており、新卒採用にかかる年間採用コストは、1,322万円と最も高くなっている。今後の採用にかけるコストについても増加を予定している企業は22.9%にのぼる。こうした採用コストの増加の背景には、内定辞退者の増加と離職率の高さも起因しているようだ。採用コストが最も高い新卒採用を見てみると、雇用環境の改善により企業規模を問わず、採用意欲が高まり、「売り手市場」となっているため、複数の内定を得る者や入社しても自分の希望に合わなければすぐに転職してしまう者が多くなっている。このため、企業は、内定辞退者に備えて、内定者を多めに出したり、内定辞退を防止するために、懇親会を開いたり、e‐ラーニングや外部教育スタッフを用いての研修などを積極的に行うようになっている。こうしたことも採用コストが増加する一因になっているのではないだろうか。また、離職率の高さについても、常に社員の採用をしなければいけない状況を生み出すことになり、採用コストが増加する原因となる。採用コストを考えれば、入社した社員が簡単に辞めないような社内体制を構築していくことが一層求められるのではないだろうか。
●  採用コストを抑えることが今後の課題
  採用コストの削減は、企業の課題の1つといえる。採用担当者は、いかに採用コストを抑えて人材を確保できるかが求められる。そのためには、会社が求める人材を明確にし、求める人材に応じて、一番効果的で効率的な採用方法を取り入れていくことが大切になる。また、せっかく採用した社員が辞めない組織作りも大切であろう。昔と違い、今では転職は当たり前の時代となっている。社員は、就社ではなく就職と考え、自らのキャリアアップと夢の実現のためには転職を繰り返すことも珍しくない。
  せっかく採用した社員がすぐに辞めてしまうようでは、それこそ採用コストの無駄使いである。
出所:ソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社
「採用担当者への採用活動の実態調査」(「イーキャリアプラス」調べ)
http://www.softbankhc.co.jp/press/071211.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2008.01.07
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