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2008年の世界経済、サブプライム問題が長期化
●  原油100ドル時代
  2008年の世界経済は1月2日のニューヨーク原油先物市場で原油価格が初めて1バレル100ドルを超え、波乱含みで始まった。米株式市場は景気の先行き不透明感から大幅に下落。4日の東京株式市場大発会では日経平均株価が急落し、終値で1万4,691円と昨年11月に付けた最安値(1万4,837円)を割り込んだ。米国の住宅ローンに端を発した「サブプライムローン問題」の深刻化から、暗い新年の幕開けとなった。
  新年のテレビ特番でローマ帝国を扱った番組があった。そのなかで「すべての道はローマに通じる」ということわざを「すべての道はローマから発する」と言い換えて紹介していたが、2008年の世界経済はまさに「すべての問題はサブプライムから発する」と言えそうだ。
●  サブプライム問題は長期化
   サブプライム問題の長期化、深刻化はまず間違いない。今月発表の米大手金融機関の昨年10〜12月期決算では、シティグループなど主要3社だけで新たに4兆円規模の評価損が計上されるとの観測が浮上。最終的な損失額は50兆〜100兆円に膨らみそうだ。
   これに対応するため、米連邦準備制度理事会(FRB)など世界の中央銀行は今年も利下げで市中に資金を大量供給するとみられる。フェデラルファンド(FF)金利が現在の4.25%から3.5%程度まで引き下げされるとの予想もあり、これに応じて米長期金利にも低下圧力がかかる。
   日本では日銀が利上げの機会をうかがってきたが、こうした世界情勢に対応して、むしろ利下げの検討に入らざるを得ないかもしれない。長期金利は昨年末時点で1.5%とかなり低い水準だが、上昇圧力はかかりにくい。2008年は1.5%を中心として上下0.2%程度のボックス圏で推移すると考える。
   内外金利差が縮小することで、ドル安・円高の基調となるが、躍進する新興国に対して日本経済が比較優位に立つとは考えにくく円が強く買われる状況は考えにくい。やはり110円を中心として上下10円程度のボックス圏で推移するとみられる。ただし基調は円高のため、輸出中心の日本企業の業績に暗い影を落としそうだ。
●  株安・債券高・ドル安
  サブプライム問題の長期化で米国経済は景気後退局面入りも考えられる。こうなれば米国に連動する日本経済の景気後退も避けられない。一方で世界の中銀の利下げによる資金供給で原油など商品の価格高傾向に拍車がかかれば、インフレ懸念の台頭から過度な利下げはできなくなる。世界の中銀は景気後退とインフレ懸念の挟み撃ちで身動きがとれなくなるとみられる。
  こうした状況を総合すると、大きな流れは景気低迷による株安・債券高(金利低下)とドル安による自国通貨高という構図が浮かび上がる。日本では日経平均が1万5,000円台、長期金利が1.5%、円が1ドル110円という水準が目安となりそうだ。
2008.01.15
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