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フラット35の利用者像
●  融資率は最高9割
  住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)は、2003年10月から開始されたフラット35の利用者の状況について定期的に調査している。このほど2007年2〜3月におけるフラット35の利用者の状況についての報告がまとまった。
  フラット35は、民間金融機関の住宅ローン債権を住宅金融支援機構が買い取って証券化するもの。機構は買い取った債権を担保に住宅ローン担保証券(MBS)を発行し、それを機関投資家に販売する。フラット35は、民間の融資を側面支援することに狙いがあり、民業圧迫の懸念が小さい分、従来の公庫融資より融資条件が緩められている。
  例えば、従来の融資上限は原則3,500万円だったが、フラット35は8,000万円に上がった。融資率(住宅価格に対する融資額の割合)の上限も9割に高まった。貸出金利も公庫が住宅ローン証券の発行金利などをもとに下限を定め、各金融機関が独自に手数料を上乗せする方式となっている。年収に対する総返済額の割合も35%(年収400万円未満は30%)である。また融資期間は15年〜35年(または完済時80歳まで)に広いうえ、住宅の床面積の上限はない。
●  新築マンションでの利用が過半数
  報告によれば、前出の時期に10,365件の融資実績(機構からみれば債権買取実績)があった。このうち、アンケートに回答した者は2,484名である。回答者の属性は年齢が平均で37.5歳、世帯年収が663万円、家族数が3.1人である。借入内容は借入額が2,104万円、返済負担率は20.2%となっている。
  その借入目的別の内訳は、新築マンションが1,319件(回答全体の53%)、注文住宅が447件(同18%)、土地付注文住宅が390件(同16%)、建売住宅が221件(同9%)などとなっており、マンションブームを反映している。
  フラット35を取り扱う金融機関は、ノンバンクが全体の44%、都銀・信託が34%などであり、ノンバンクの取り扱いが多い。銀行は自行で直接融資をしたいためであろう。
●  申し込み時金利の適用を望む
  住宅ローンのなかでフラット35を利用した理由を尋ねる(複数回答)と、回答者の87.1%が「将来の返済額が確定」していることを挙げている。つまり、固定金利が最大のメリットとされている。「繰上返済手数料・保証料が不要」が45.5%、「住宅事業者が勧めた」が26.3%、「金利が低い」が25.8%などと続く。
  一方で、フラット35に対する利用者の不満を回答させると、最も多いのが「申し込み時金利ではない」(66.5%)であり、3人に2人が不満としている。フラット35は実行時の金利が適用されるからである。次に「繰上返済額の下限が100万円(で高い)」が25.9%、「団信の保険料が金利と別(であり含めてほしい)」が24.9%などと続いている。
出所:住宅金融公庫「平成19年度フラット35利用者アンケート調査報告」
(可児俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP(R)、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.01.28
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