>  今週のトピックス >  No.1591
企業の新卒採用の状況
●  2008年入社新卒採用は半数企業が採用増
  2008年4月に入社予定の新卒者の採用プロセスを調査した結果が、日本経団連から報告された。日本経団連会員企業が回答している。回答企業のうち、新卒を採用した企業は97.2%とほとんどの企業で新卒を採用している。採用人数を増加した企業は49.9%とほぼ半数である。一方、採用人数を減少した企業は21.3%に止まり、採用人数が全体として拡大していることがわかる。
  採用増を受けて、「昨年と比べて売り手市場であった」との回答が88.3%と9割近くであり、「特に変わらない」は9.8%とわずかで、採用が一段と困難になっていることが分かる。採用予定数に対する充足率を尋ねると、「100%」つまり予定数の新卒者が採れたとする回答は58.5%と過半である。「90%」が23.8%、「70〜80%」が14.2%であり、全体では8割程度の充足率であったようだ。内々定後に辞退する割合は、「10%程度」が25.5%、「20%程度」が18.2%、「30%程度」が22.5%などとなっており、3割程度は辞退している。
●  採用費用は過半数の企業で増加
  こうした状況を受けて、採用費用は上昇している。前年より採用費用が増加したとする回答は60.0%、「変わらない」とするのが35.8%で、「減少した」のは、わずか4.2%であり、全体として採用費用は増えている。
  採用手順として、会社説明会と選考会を分離実施しているのが78.0%と過半数を占める。また説明会・選考会を複数開催した企業が全体の87.8%と大部分を占め、そのうちの93.8%が複数開催は効果があったと回答している。
  通年採用も34.5%の企業が実施している。通年採用の内訳は、「年間を通した随時採用(51.6%)」と「通常の採用時期と秋季採用の2本立て(37.2%)」のいずれかだ。職種別採用を導入しているのは全体の41%であり、「営業・販売職」「研究・開発職」などが対象となっている。
  リクルーター制度は、39.8%と4割の企業が採用している。またオープンエントリー(公募制)を87.8%の企業が採用しており、オープンエントリー採用がかなり定着したようだ。
●  大学名不問採用は全体の半数
  大学名を不問とする企業は50.4%と半数である。また学生のエントリーのルートをインターネットのみとする企業が72.3%、郵送方式とインターネット方式の併用が21.1%と、就職活動にあたって、学生にインターネットは必要不可欠なものとなっている。
  選考方法を見ると、採用試験は面接が98.8%とほとんどすべての企業が実施している。筆記試験が77.8%、適性試験が83.9%である。筆記試験の内容は、基礎学力が72.5%、一般常識が38.5%、小論文が32.3%、外国語が28.1%などとなっている。
  来年度(2009年入社)の採用については、採用数を「増やす」のは18.6%に止まり、75.5%が「変わらない」としている。
  出所:(社)日本経済団体連合会「2007年度新卒者採用に関するアンケート調査結果の概要」
(可児 俊信 (株)ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.02.18
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