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改正パートタイム労働法の概要
●  パートタイム労働法改正の背景
  平成20年4月1日から改正パートタイム労働法が施行されるが、今回の大幅な改正は1993年に同法が制定されて以来のことであり、各方面から注目されていることは事実である。法改正が成立した2007年5月25日以降からサービス業などを中心に一部ではパートタイマーの処遇の見直しは進んでいるが、まだまだこれからのところも多い。
  さて、今回このパートタイム労働法が改正された理由は、少子高齢化、労働力減少社会で、パートタイム労働者がその能力をより一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するためである。総務省の労働力調査によると、2005年のパート数は、雇用者総数「5,280万人」の24%を占める1,266万人に達した。驚くことに15年前の1990年に比べて544万人も増加しているわけだが、これは90年代後半に各企業が正社員の雇用を抑制し、賃金を抑えるためにパートタイマーを採用したことが原因の1つに挙げられる。その結果同じ就業実態であっても正社員とパートタイマーに賃金などの労働条件の格差が生まれるという問題が挙がっていた。このような背景をもとに改正パートタイム労働法は施行されるわけだが、まだまだ問題はたくさん残っており今後政府が通達や指針などを出しながら対応していくことになるだろう。
●  今回の法改正のポイント
  今回の主な改正ポイントは、下記のとおりである。
  1. 労働条件の文書交付の義務化
      労働基準法で労働条件の明示が義務付けられている事項に加えて、現行パートタイム労働法では努力義務とされてきた明示事項のうち、一定の事項(昇給・退職手当・賞与の有無)について、文書の交付等による明示が義務付けられる。また、違反に対して、過料(10万円以下)の規定が新たに設けられる

  2. 待遇についての説明の義務化
      雇入れ後、パート労働者から求められたとき、待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明することが義務付けられる。

  3. 差別的取扱いの禁止と均衡の取れた待遇の確保
      「正社員(通常の労働者)と同視すべきパート」の待遇(賃金、教育訓練、福利厚生)について、差別的に取り扱うことが禁止される。

  4. 正社員への転換
      正社員への転換を推進するための措置を講じることが義務化される。これにより、コース別人事制度の改定などが必要になる。

  5. 苦情処理の紛争解決援助
      苦情の申し出を受けたときは、事業所内で自主的な解決を図ることを努力義務としている。また、紛争解決援助の仕組みとして、都道府県労働局長による助言、指導、勧告、紛争調整委員会による調停が設けられる。
  出所:厚生労働省 改正パートタイム労働法のポイント
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1c.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2008.02.18
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