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相続時精算課税制度での課税は適用者全体の約5%
●  2006年中の受贈者は4年ぶりに減少
  相続時精算課税制度は、65歳以上(住宅取得資金は年齢制限なし)の親から20歳以上の子どもへの生前贈与に対し、特別控除が2,500万円(住宅取得資金は3,500万円)で、特別控除を超えると一律20%の税率で課税される制度だが、2006年中に贈与を受けた人は36万9,763人で、このうち22.5%にあたる8万3,290人が相続時精算課税制度の適用者だったことが、国税庁がまとめた2006年分の税務統計の贈与税関係(速報)で分かった。2006年中に贈与を受けた人は前年に比べて8.8%減と4年ぶりに減少している。
  また、贈与税の取得財産価額は2兆288億円で同14.6%の減少、納付税額は1,183億円で同2.1%の増加となった。この集計は、2007年6月30日までの申告または処理(更正、決定等)による課税事績を申告書、決議書等に基づいて作成したもの。
  贈与税の取得財産価額を種類別に構成比をみると、暦年課税分は、「土地」が36.8%(3,467億円)、「現金預貯金等」が31.8%(2,992億円)、「有価証券」が21.4%(2,017億円)、また、相続時精算課税分は、「土地」が30.7%(3,334億円)、「現金預貯金等」が54.0%(5,866億円)、「有価証券」が10.7%(1,158億円)をそれぞれ占めた。相続時精算課税制度を利用した贈与は過半が現金預貯金となっている。
●  暦年課税分では約95%が納税
  取得財産価額を種類別にみると、暦年課税分は受贈者28万7,992人、9,424億円、相続時精算課税分は同8万3,290人、1兆864億円だった。しかし、課税価格は基礎控除や特別控除などで大幅に減少し、最終的な贈与税額は、暦年課税分(基礎控除110万円)は課税人員が27万2,589人で911億円、相続時精算課税分が同4,100人で286億円となった。
  相続時精算課税分では、特別控除2,500万円(住宅取得資金は3,500万円)を超えて一律20%課税の対象となったのは制度利用者全体の約5%に過ぎない。暦年課税分では受贈者全体の約95%が納税しているのだから、相続時精算課税制度の特別控除枠がいかに大きいかが分かる。
  2006年中の受贈者約37万人を取得財産価額階級別にみると、暦年課税分では、「150万円以下」が全体の44.1%、次いで「200万円超400万円以下」が25.4%など、取得財産価額が400万円以下の受贈者が82%を占める。
  また、相続時精算課税分では、「1,000万円超2,000万円以下」が26.3%、「400万円超700万円以下」が22.2%、「700万円超1000万円以下」が21.5%など、400万円超2,000万円以下の受贈者が70%を占めている。
参考資料: http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/zoyo2006/01.pdf
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2008.02.18
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