>  今週のトピックス >  No.1599
企業倫理徹底への取組み
●  ほとんどの企業が行動憲章を制定
  日本経団連は会員企業に対して、コンプライアンスの浸透と徹底などの企業倫理への取組み状況をアンケートにより調査した。
  まず経営理念を踏まえて、会社の姿勢や行動原則を示す「行動憲章」を制定している企業は97.8%にのぼる。2003年調査の79.1%、2005年調査の83.0%と年々制定率は高まっている。行動憲章の従業員への周知の方法としては、「教育・研修の機会」が79.6%、「ハンドブック」が67.1%、「挟み込み用カード」が46.4%、「職場ごとに定期的に確認」が34.7%、「手帳」が14.2%となっている(複数回答)。そして行動憲章を行動指針、就業規則、業務マニュアルに落とし込んでいる企業は97.6%であり、ほとんどの企業が行動憲章を日常の業務に反映していることが分かる。
  行動憲章にもとづく企業倫理の徹底範囲を自社のみとする企業は少なく16.9%に止まる。国内外の主要関係会社も含むとする回答が26.3%、国内の連結対象会社も含むのが44.2%、海外の連結対象会社も含むのが22.6%などとなっている。
●  企業倫理研修の対象は全社員
  こうしたグループ全体での取り組み体制を整備・構築している企業は97.1%である。具体的には「社内横断的な推進機関を設置」しているのが83.3%で最も多い。「担当役員の任命」が78.9%、「専任部署の設置」が70.7%、「部署ごとに専任担当者を配置」が43.2%となっている。やはり旗振り組織を設置していないと継続的な浸透は難しそうだ。
  こうした社内体制とは別に、社員の教育・研修の場でも企業倫理を徹底している。研修の対象者は、管理職であるものが91.9%、管理職以外の社員を対象とする企業は91.2%であり、ほとんどの企業で管理職とそれ以外の社員を対象にしていることになる。役員についても75.4%が対象としており、派遣社員まで対象とする企業も44.5%ある。研修の手法としては、「講義形式」が93.4%、「自学」が47.0%、「グループディスカッション」が39.8%ある。
●  企業倫理通報窓口は社外にも設置
  企業倫理に関する通報窓口となる「企業倫理ヘルプライン」を設置しているのはほとんどの企業で96.6%である。うち6割(59.7%)の企業は、窓口を社内と社外(法律事務所等)に設置している。
  ヘルプラインの利用対象者は、自社の従業員だけでなく、派遣社員(90.1%)、グループ企業の従業員(81.2%)、アルバイト(66.7%)だけでなく、取引先も26.9%の企業が対象にしていると回答している。
  具体的に相談受付の対象となる事項と挙げられているものには、「部署の違法行為」が97.0%、「個人の違法行為」が95.5%、「セクハラ・パワハラ」が92.1%、「個人情報保護」が74.3%、「製品やサービスの安心・安全」が60.9%と続いている。
出所:(社)日本経済団体連合会「企業倫理への取組みに関するアンケート」
(可児 俊信 (株)ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.03.03
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