>  今週のトピックス >  No.1603
確定給付企業年金が企業年金の主役
●  厚生年金基金はいまや中小企業のための年金
  企業年金大改革の年であった2001年には確定拠出年金法と2002年の確定給付企業年金法の施行、厚生年金基金の代行返上の開始があり、その後6年が経過しようとしている。適格退職年金の残存可能期間もわずか4年となった。
  最盛期には1,900件近かった厚生年金基金も、代行返上が進んだ現在(2008年2月1日時点)では、従来の基金の形態のまま存続しているのは616件(2006年7月時点では651件、2006年1月時点では669件、2004年12月では736件)、616件のうち総合型が504件と大部分であり、単独型・連合型はほとんど代行返上を終えていることが分かる。また加入事業所が12.4万もあることから、厚生年金基金はイコール総合型基金、つまりもはや中小企業のための年金といっても言い過ぎではない。
  将来部分だけでなく過去部分の返上も終えて確定給付企業年金に移行した基金が801件。これまで解散した基金が1,310件がすでに役割を終えている。最盛期に1,200万人以上いた加入者数も、現在は約482万人と半分以下だ。確定給付企業年金2,991件のうち、代行返上によって厚生年金基金から確定給付企業年金に切り替わった件数は上述の801件である。確定給付企業年金が普及し始めた当初は、厚生年金基金からの切り替えがほとんどであったが、いまや、基金母体以外の確定給付企業年金が大部分を占めるようになった。
●  急増する確定給付企業年金
  新しい企業年金である確定給付企業年金は2,991件(2008年2月現在)である。2007年2月では1,898件であったから、この1年間で急増していることが分かる。適格退職年金からの移行が進んでいると思われる。なお、加入者数は2007年3月現在で430万人である。
  2012年3月で制度が終了することが決まっている適格退職年金は、最盛期は92,467件だったが、2007年3月末時点では38,885件(2006年3月末では45,090件、2005年3月末では52,761件、2004年3月末では59,162件)と、最盛期の半分以下まで減少した。また1,078万人だった加入者数も、現在は506万人とやはり半分以下に減少している。
  制度終了後の受け皿の制度としては、確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済がある。企業型確定拠出年金は、2007年5月末現在で規約数は2,545件、加入者数は約263万人である(2007年12月末現在)。また適格退職年金から中小企業退職金共済制度(以下、中退共)に資産が移換された件数は、2007年5月末で13,587事業所、加入者数は約38万人である。
   確定給付企業年金、確定拠出年金、中退共は企業年金改革の受け皿として機能を発揮してきた。
出所:企業年金連合会「企業年金の現況」、中小企業退職金共済事業本部
(可児 俊信 (株)ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.03.10
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