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低迷するREIT市場、分配金利回りは魅力的に
●  42銘柄が東証に上場
  投資家から資金を集め不動産に投資して賃料収入を分配する「REIT」、いわゆる不動産投資信託のマーケットが冷え込んでいる。サブプライムローン問題に端を発した信用収縮で外国人などの投資家がREITへの投資に消極的になっているためだ。ただ投資口価格(株式会社の株価に相当)が下がったことで分配金利回りは約5%に上昇し、魅力的な水準となっている。
  REIT市場は2001年に創設された。現在、東京証券取引所などに42のREITが上場している。REITの投資口は、株式会社の株式のように取引されており証券会社などを通じて一般の投資家でも買うことができる。REITは投資家から公募増資などで集めた資金や銀行からの借入金でオフィスビルやマンションなどを購入する。ここから得られる賃料収入から費用を引いた利益のほぼ全額を半年ごとに投資家に分配する。
●  サブプライムの影響で低迷
  REITが保有する不動産は東京や大阪など大都市圏のオフィスやマンションが多い。こうした大都市圏の不動産は好況の影響で賃料が上昇しており、REITの業績も堅調に推移している。ところが昨年後半以降、サブプライム問題による信用収縮が起きREITの投資口価格は急落。現在も低迷している。
  業績が良いのになぜ信用収縮の影響で投資口価格が低迷しているのだろうか。REITの売買は外国人投資家が6割程度を占めている。サブプライム問題で外国人投資家の多くがREITの投資口を換金売りをしたために、投資口価格が急落したというのが最大の原因だ。
  先ほど述べたようにREITは金融機関から借り入れもしている。サブプライム問題以降、金融機関はREITに対しての貸し出しを一部規制している。このためREITにとっては資金の調達コストが上昇し業績を圧迫し始めている。不動産価格の上昇に一服感がみられるのも、REIT不振の一因だ。
●  利回りは平均5%と高い
  投資口価格の上昇というキャピタルゲイン狙いだと投資しにくい環境だが、分配金というインカムゲインに目を向けるとREITは魅力的ともいえる。現在、REIT市場平均の分配金利回りは5%程度。例えば100万円分の投資口を買えば1年で5万円分配され、銀行に預けるよりはずっと利回りは高い。トヨタ自動車の配当利回りは2%程度で、インカムゲインに着目すれば優良株よりも投資する価値はあるといえる。実際シンガポールの政府系ファンドが日本の有力REITの投資口を5%以上保有するなど、長期保有志向の投資家の間では日本のREITが見直され始めている。
2008.03.10
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