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正社員採用の採用枠の実態
●  新卒だけでなく中途採用でも正社員を確保
  引き続き深刻な人材確保難であるが、そうした状況下で企業がどのように正社員を採用したかに関する実態調査が、(独)労働政策研究・研修機構から報告された。
  まず、過去1年間に正社員を採用した企業がどのような採用枠だったかを尋ねている。新卒を採用した企業は82.9%、中途採用は82.1%である。採用は新卒だけでは足りず、既卒者も対象となっていることが分かる。
  新卒者を採用する理由は、「長期的な視点で人材を確保・育成するため」が83.9%、次いで「人員構成のゆがみを是正するため」が29.4%、「欠員の補充のため」が27.4%と続き、新卒は長期的な視点で採用されている。一方、中途採用は「欠員の補充のため」が67.1%、「即戦力の確保」65.5%、「長期的な視点で人材を確保・育成するため」21.7%であり、即戦力として期待されている。
●  中途採用は実務経験重視で選考
  採用時の選考において重視する項目においても同様な傾向で、新卒者に対しては、「熱意・意欲」73.7%、「コミュニケーション力」56.6%、「協調性」41.5%などとなっている。一方、中途採用は「実務経験」63.5%、「熱意・意欲」51.5%、「行動力・実行力」38.2%、「コミュニケーション力」36.5%となっており、中途採用は即戦力期待であることがよく分かる。
  中途採用者の年齢上限については、「35歳未満」31.9%、「30歳未満」13.1%となっている。ちなみに新卒者では「25歳未満」26.7%、「30歳未満」20.4%、「35歳未満」6.2%であり、中途採用では30代前半がターゲットであるが、新卒は20代前半となっているという違いがある。中途採用におけるこれまでの就業実績については、「3年程度」とする回答が14.8%あるが、「定めていない」企業が75.7%と大部分である。また正社員としての就業経験の有無についても、「就業経験が必須」19.3%、「就業経験を優遇」31.2%だが、「就業経験を問わない」も43.9%と多い。このように中途採用に対しては、かなり間口を広げている様子がうかがえる。
●  意欲を高めるために正社員登用
  こうした採用活動だけでは足りず、非正社員からの登用によっても正社員が確保されている。まず正社員登用を制度として規定している企業は25.9%、制度はないが実態として登用している企業は49.3%となっている。登用制度を設けている理由は、「定着や仕事意欲を高めるため」が86.9%、「正社員の補充」が38.2%、「非正社員全体の定着や仕事意欲を高めるため」が27.5%、「正社員人材の選抜期間である」が23.5%などとなっている。登用の要件としては、「上司の推薦」が68.1%、「本人の希望」が58.8%、「業務成績が基準以上」が47.9%などと続く。
  企業が様々な採用枠で、人材を確保しようとしている実態が伝わってくる。
出所:(独)労働政策研究・研修機構「企業における若年層の募集・採用等に関する実態調査」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.03.24
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