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子育て後の女性の再就職の実情
●  再就職はパートタイマー
  独立行政法人労働政策研究・研修機構の発表によると、結婚・妊娠・出産・育児のため退職した女性労働者のほぼ半数が、退職後3年未満に再就職を希望していることが分かった。この発表は、全国の常用労働者を5人以上雇用している10,000事業所で働く女性を対象にした「子育て後の女性の再就職に関する調査研究結果」による。その他の調査結果を見ると、子育て後の最初の再就職で最も多い雇用形態はパートタイマーで6割近くにのぼり、正社員は3割に満たなかった。
  女性が結婚・妊娠・出産・育児に左右されず働く環境がだんだんと整ってきているが、それでもまだ、結婚・妊娠・出産・育児が働く女性にとって大きな課題であることは否めない。今回の調査でも約5割の女性が結婚・妊娠・出産・育児の時期に仕事をやめて家事に専念している。今回の調査は、女性の再就職においてどういった行動が有効であり、企業はどういった体制を整えていくことが必要であるかを教えてくれる良い材料といえるだろう。
●  再就職先のほとんどが地域の中小企業
  調査結果をみてみると、結婚・妊娠・出産・育児期に退職してからの期間が3 年未満のうちにほぼ半数が再就職しようと考えており、一方で、7年以上してから再就職しようと考える者も多くなっていることが分かった。この期間の長さは末子の年齢も密接に関係しており、再就職しようとしたときに気を遣ったこととして、20.3%が子どもの世話が手抜きにならないことを、15.2%が家族に家事の負担をかけないことを挙げ、子どもの世話や家族に対する配慮が強く関係している。次に再就職にあたっての準備についてみると、最も多いのは家族の理解を得るための話し合いで85.8%となっており、その相手はほとんどが夫である。次いで、会社情報等働き先に関する情報収集が85.4%、保育の手配76.2%となっている。また、意外だった回答として車の運転免許の取得が6割を超えている。
  子育て後の始めての再就職では、雇用形態ではパートタイマーが57.9%と際立って多く正社員は約24%となっている。職種では事務職が最も多く、2番目に専門的・技術的な仕事、3番目にサービスの仕事となっている。また再就職先は、50人未満の企業で働いている者が61.2%と過半数を大幅に越え、全体の約90%が300人未満の企業で就業しており、地域の中小規模の事業所が再就職先として大きな役割を担っていることが分かった。
●  子育て後の女性の再就職に関する取り組み
  現在、我が国では、次代の社会を担う子どもを育成し、または育成しようとする家庭に対する支援を地域、行政、企業などが積極的に始めている。また、子育て後の再就職で最も多いパートタイマーについてもパートタイム労働法の改正があり、正社員との均等待遇などが盛り込まれた。このように、子育て後の女性の再就職に関する環境が徐々にではあるが整ってきている。子育て後の女性が今まで以上に満足して働けるようになることが、少子化や高齢化といった問題を抱える日本の将来を明るくするのではないだろうか。
出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構
「子育て後の女性の再就職に関する調査研究結果」
http://www.jil.go.jp/press/documents/20080318.pdf
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2008.03.31
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