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青色欠損金がある場合の注意点
●  青色欠損金の7年繰越に注意
  3月決算法人の申告が5月に迫り、黒字法人は税金の金額を心配しておられることだと思う。しかし、赤字法人や青色欠損金がある法人についても、注意しておかなければならない点がいくつかあるので、今回はそれをご紹介していきたい。
  まず青色欠損金の繰越期間については、ご承知の通り、平成16年度税制改正において、5年から7年に変更になった。変更になるのは、平成13年4月1日以降開始事業年度で発生した青色欠損金からである。
  平成13年4月1日から平成14年3月31日までの事業年度で発生した青色欠損金は、平成19年3月決算で繰越期間が5年となっているが、この事業年度分から7年に変更になるため、欠損金残高が残っていれば、今回の平成20年3月決算にも繰越できる。自社の欠損金の繰越期間を再度確認しておきたい。
●  中小企業は繰戻還付を有効利用
  次に注意すべき点として、青色欠損金の繰戻還付の適用が挙げられる。この制度は現在、原則として適用停止となっているのだが、資本金1億円以下で設立5年以内の青色申告法人等の場合には、特例として適用を受けることができる。
  例えば、第1期の課税所得が200万円で、第2期の課税所得が△100万円だとしよう。この場合、選択肢は2つある。1つは、第2期の赤字の100万円を繰越欠損金として、翌期以降に繰り越す。もう1つは、第1期の黒字の200万円と相殺し、第1期で支払った法人税の還付を受ける。後者の方が、青色欠損金の繰戻還付である。
  実際に適用する際には、翌期繰越と繰戻還付のどちらが有利かを慎重に判断した上で、適用したい。尚、繰戻還付は法人事業税には適用がなく、法人住民税については、翌期以降納付すべき法人税割から控除されることになる。
●  青色欠損金でも相殺できない留保金課税
  また多額の青色欠損金があっても、法人税が発生してしまうケースがある。それは同族会社の留保金課税がかかってくる場合である。
  青色欠損金は課税所得からマイナスされるため、所得以上に青色欠損金が繰り越されていれば、一般的には法人税が0となる。しかし、留保金課税の計算をする上では青色欠損金は考慮されないため、課税所得が0でも法人税がかかる、ということがあり得る。
  尚、平成19年4月1日以降開始事業年度、つまり今年の3月決算から、資本金1億円以下の会社は留保金課税の対象から除外されるため、除外法人に該当する場合には、上記の心配はいらない。
●  赤字でも必要な税金
  赤字決算であっても、税金が0になるわけではない。地方税の均等割や消費税については、赤字であってもなくなることはない。消費税については、予定納税がなければ、確定申告時の納税額が多額になることもある。期中から納税資金の積み立てをきっちり行っておきたい。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2008.04.07
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