>  今週のトピックス >  No.1623
勤労者の意識の変化
●  高まる雇用安定への志向
  (独)労働政策研究・研修機構では、ほぼ3年おきに勤労者の意識の定点調査を行っている。このたび2007年調査の結果がまとまり報告された。
  まず日本型雇用を特徴づけている「終身雇用」について、肯定する回答(「良いと思う」「どちらかと言えば良いと思う」の合計)が86.1%と高い。しかも、2001年76.1%、2004年78.0%と比べ、一段と高まっている。「年功型賃金」についても、肯定する回答は2001年62.3%、2004年66.7%、2007年71.9%と年々高まっている。「組織との一体感」についても、肯定的な回答は2001年79.1%、2004年77.8%、2007年84.3%と年々高まっている。かつては否定的に見られてきた日本的雇用の特徴が年々肯定されてきている。その理由は、勤労者の意識の保守化が進んでいるというより、勤労者がリストラや成果主義という雇用環境より、安定した雇用を望んでいることの現われであろう。
  同じようにフリーターという働き方についても、否定的な見方が増えている。フリーターは「不安定な働き方である」とするのが88.0%、2001年は80.9%であった。逆に「自由で多様な生き方である」と肯定する回答は26.8%で、2001年の34.2%から低下している。
●  人間関係のよい会社が望まれる
  次に今の仕事において満足できる理由について尋ねている。
  「自分の能力が十分発揮できる」ことに満足している(「満足している」「まあ満足している」の合計)という回答は65.8%と最も高い。次に高い理由が「責任の範囲が広い」で64.0%、「仕事に新しいチャレンジがある」が53.3%、「努力に見合った待遇が得られる」が51.5%と続く。いわゆるやりがいのある仕事が満足感を高めていることが想像される。
  勤務先を自由に選ぶことができるとしたら、どのような会社で働きたいかを尋ねたら、「人間関係が良い会社」が31.7%でもっとも多い。以下は、「仕事と家庭の両立支援を行う会社」18.0%、「賃金が高い会社」13.6%、「希望や適性に配慮して配置する会社」10.3%、「人材育成・能力開発に力を入れている会社」8.9%などと続く。従業員は働きやすい会社を望んでいることがわかる。
出所:独立行政法人労働政策研究・研修機構「第5回勤労生活に関する調査(2007年)」
(可児 俊信 (株)ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.04.14
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