>  今週のトピックス >  No.1624
在庫と利益は表裏一体の関係
●  税務調査では厳しくチェック!
  在庫とは、仕入れた商品・材料または製造した製品・仕掛品のうち、期末までに売れ残ったもののことである。
  税務調査では、この在庫の評価について厳しくチェックされることとなる。それは、売上原価というのは(期首棚卸高+当期仕入高―期末棚卸高)により計算され、期末在庫は当期の売上原価を構成していないからだ。つまり期末在庫というのは、費用化されずに税金がかかる対象となるのである。
  従って、利益の出ている会社であれば、期末在庫を減らす努力を行うことが多い。例えば、期首在庫20、当期仕入高100、期末在庫40とした場合の売上原価は20+100−40=80となるが、仮に期末在庫を10としたら、売上原価は20+100−10=110となる。もちろんその分売上も計上されることにはなるが、資金繰りは大幅に改善されることになる。
   税務調査においては、期末在庫は内部管理項目であり経営者の恣意性が介入される余地があることから、数量、単価が正しく計上されているのか入念なチェックが行われることはぜひ知っておいていただきたい。
●  在庫処分と節税方法
  さて、在庫を利用し節税する方法は大きく分けて3つある。
(1)在庫の見切り処分
(2)在庫の評価損計上
(3)在庫の廃棄処分
●  在庫の見切り処分
  デパートや宝石店で、「決算在庫一掃バーゲン」などの催事をご覧になったことがあるだろう。在庫のままであれば、費用に計上できないが、それを見切り処分すれば費用計上することができる。また、現金も入ってくるので納税資金の確保になる。これは節税とキャッシュフローを考慮するとかなり有効な手段といえる。
●  在庫の評価損計上
  在庫の見切り処分をしてもなお在庫となってしまうものが生じる場合には、「評価損を計上する」か「廃棄処分する」かということになる。
  しかし、税法上在庫の評価損が計上されるケースというのは、規定されている。それは、(1)災害による著しい損傷があった場合 (2)著しい陳腐化があった場合 (3)破損、型くずれ、棚さらし、品質変化などにより通常の方法では販売できなくなった場合(単なる流行遅れはダメ) (4)会社更生法等による評価換えがあった場合などである。
  この在庫の評価損計上については、現金の支出を伴わない費用の計上となり決算対策上有効な方法であるが、その実行にあたっては税理士等と相談の上慎重に行っていただきたい。
●  在庫の廃棄処分
  在庫が増加してくると、在庫を保管する場所を確保することが困難になり、保管するのに費用が発生してくることもある。その場合に最終手段として在庫の廃棄処分というのがある。
  廃棄処分だから、単に捨てれば廃棄損が計上できると考えるのではなく、廃棄した事実を第三者に客観的に証明できる証拠を残すことが必要である。具体的には、廃棄する在庫の一覧表を作成し、決算期末までに在庫を廃棄業者に引き渡し、廃棄業者から廃棄証明書等を受け取ることになる。さらに、簿外資産がなく確実に廃棄したことを証明できる証拠となるので、廃棄する在庫の写真を残すことをお勧めする。
(今村 京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2008.04.14
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