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納税手段全体の2割を占めた「コンビニ納税」〜「東京都コンビニ納税白書」を公表
●  都内の17チェーン、5,580店舗でコンビニ納税が可能
  東京都はこのほど、自動車税などの都税をコンビニエンス・ストアで納める「コンビニ納税」の白書を公表したが、それによると、2007年4月から12月におけるコンビニ納税件数は、都税の納税手段全体の2割を占め、着実に利用件数が増えていることが分かった。
  都は、2004年4月、都内のセブン−イレブンやローソンなど6チェーンのコンビニ(3,953店舗)に自動車税の収納事務を委託し、全国で初めてコンビニ納税をスタートさせた。
  その後、2006年4月には納税できる税目を固定資産税・都市計画税、個人事業税、不動産取得税に拡大、2007年4月には納税できるコンビニを11チェーン追加して今年1月現在で17チェーン、5,580店舗に拡大し、都内のほぼすべての店舗での納税が可能となった。
  この結果、コンビニ納税の対象店舗数は、スタート当初から1.4倍以上に増え、都内の金融機関数(4,807店舗)を超えている(ただし、郵便局1,510局を除く)。
●  金融機関の窓口が開いている時間帯も半数が利用
  コンビニ納税を利用した納税者1人あたりの平均支払額(2007年4月〜12月)は3万6,930円となった。コンビニ納税は、1枚の納付書あたり30万円以下に制限されているが、実際にも、10万円を超える納税は3.8%、20万円超は0.5%に過ぎない。現金を持ち歩くことを前提とするコンビニ納税では、高額な納税は適さず、買い物の延長で支払える範囲の税金が適しているようだ。
  都税の収納手段全体に占めるコンビニ納税件数の割合は20.7%と、もっとも多い「金融機関窓口」(28.6%)に迫る勢いだ。
  また、時間帯別の納税件数をみると、一般的な金融機関の窓口が開いていない時間帯(9時〜15時以外)が50.3%と過半を占める一方、金融機関の窓口で納税が可能な時間帯でも49.7%とほぼ半数にのぼる。前者では特に15時以降の納税件数が多く、また後者ではおおむね正午をはさむ昼間時間帯が多いことから、帰宅途中や勤務中の昼休み、買い物ついでの納税など、生活サイクルに沿った利用をしているものとみられている。
●  税金の二重払いなどトラブルも97件発生
  このようにコンビニ納税は、納税の利便性を向上させ、多くの納税者が利用しつつあるが、一方で、コンビニ納税が増加するにつれ、コンビニのアルバイト店員の税金収納の不慣れなどに起因するトラブルも少なくない。
  都では、2007年4月〜2008年1月の間に97件のトラブルを把握したが、もっとも多かったのは固定資産税・都市計画税の納付書に関する19件だった。固定資産税・都市計画税については、一年度分を1回に納税する全期分の納付書1枚のほか、4回に分割して納税する各期分の納付書4枚の合計5枚を納税者に送付している。ところが、納税者がコンビニの店員に5枚の納付書をすべて手渡して、納税義務のある金額の2倍を支払ってしまう二重払いの事故が、特に第1期の納期となる6月に多くみられるという。
  こうしたことから、都では、(1)税金の期別(納付書)を明確にして支払う、(2)領収書を必ず受け取り大切に保管、(3)レシートを必ず受け取る、ことを納税者に呼びかけている。
  なお、コンビニ納税は、2004年4月に都が全国に先駆けてスタートして以降、同年12月には京都府が、2005年7月には大阪府がこれに続き、総務省によると、2007年7月1日現在、全国の32都道府県、167区市町村で実施している。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2008.04.14
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