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少額短期保険事業者の現状
●  現在31社が登録済み
  2006年の保険業法改正によって、保険業法、消費生活協同組合法、農林漁業協同組合法などの根拠法に基づかない共済事業は認められないこととなった。2008年4月以降、保険業法の適用除外となっているものを除き、根拠法のない共済事業は新たな加入者の引受をすることが認められない。
  そのため根拠法のない共済事業は、(1)保険会社として認可を受けて事業を継続する、(2)少額短期保険事業者として登録して事業を継続する、(3)廃業する、のいずれかの選択肢を選ぶこととなった。
  根拠法のない共済事業から保険会社へ移行したものは、ペット共済の最大手であったアニコムインターナショナルが子会社として設立したアニコム損害保険1社のみである。新聞報道によれば今後2〜3社が保険会社に認可を得る方向と見られている。
  少額短期保険事業者は、2008年3月末で31社が財務局に登録済みである。日本少額短期保険協会の正会員、準会員は49団体あることから、今後、さらに18〜30団体の登録が見込まれる。
  根拠法のない共済事業は400団体以上あったことから、保険会社、少額短期保険業者のいずれとしても継続できなかった共済事業は、共済事業全体の9割近いことになる。
●  借家人向けの保険事業が多い
  少額短期保険事業者31社のうち、24社は根拠法のない共済事業からの継続業者であり、7社が新規ビジネスとして登録した業者である。
  継続している業者のうち5社はペット保険である。例えばアニマル倶楽部はペットの医療費として入院給付金、通院給付金、手術給付金を日額の定額を所定日数支払う保険である。8社は借家人のための家財保険、個人賠償保険である。6社が医療保険である。たとえば、いきいき世代はシニア世代をメインターゲットにした医療保険であり、入院給付金、手術給付金、先進医療給付金が給付される。79歳までの新規加入できるのが特徴である。そのほかには見舞金などを給付する会社もある。継続している業者は、これまで共済として保障を提供してきたため引き続き提供し続ける責任があるといえる。
●  ニッチ市場をめざす新規参入組
  一方、新規参入した7社は、それぞれ少額短期保険をビジネスチャンスとして捉えている。認可事業ではないうえ、資本金も最低1,000万円であるなど、保険に比べて初期負担が少なくて済むといえる。
  地震費用保険専用の日本震災パートナーズ、糖尿病専門の医療保険であるエクセルエイド少額短期保険など、これまで保険会社が手がけてこなかったニッチ分野に市場を求めている。
  一方で、自社が抱える賃貸住宅の借家人を対象とする家財保険、個人賠償保険を新たに手がける会社も4社ある。たとえばレオパレス損保プランニングもその名のとおりである。
(可児 俊信 (株)ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.04.21
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