>  今週のトピックス >  No.1632
決算時における交際費のチェックポイント
●  交際費は税金計算に直結するため、要注意
  3月決算法人の申告期限が徐々に迫っているが、今回は、決算作業の中でぜひ再確認していただきたい項目として、税務上の交際費の取扱いを取り上げたい。
  交際費はご承知の通り、全額を損金にすることはできない。そのため、交際費に該当するかどうかの判断は慎重に行わなければならない。
  まず、交際費に対する税務上の基本的な取扱いから復習しておこう。
  資本金1億円以下の法人の場合、年間(1事業年度は12カ月とする)の交際費が400万円以下であれば、支出金額の90%が損金になり、残り10%は損金不算入となる。400万円を超えた場合には、その超えた金額は全額損金不算入となる。
  また、資本金1億円超の法人の場合には、金額に関わらず、全額が損金不算入となる。
●  “5,000円特例”は書類整備を再確認
  ここからは、決算作業における具体的なチェックポイントを確認しておきたい。
  まず、必ずチェックしていただきたいのは、いわゆる5,000円以下飲食費の特例である。平成18年度税制改正において、1人当たり5,000円以下の飲食費(社内飲食費を除く)を交際費から除外する旨の改正が行われた。
  これは、“社外の者”を対象とする“飲食費”の場合に適用があり、なおかつ金額は1人5,000円以下の場合のみである。まずは、この要件に該当していることが大前提であるため、要件を再確認しておきたい。尚、税抜経理をしている場合には、消費税抜きで5,000円かどうかを判断するため、実質的には税込5,250円までOKとなる。
  また、この特例は書類の保存も要件とされている。具体的には、飲食等のあった年月日、参加者の氏名と関係、参加者の人数、金額、飲食店の名称と住所が記載要件となっている。 税務調査時に確認されることが予想されるため、書類の再確認を行っておきたい。
  ただ、この特例を適用する上で誤解してはならないのは、そもそもその性質が会議費であるものは、5,000円を超えていたとしても会議費に該当し、交際費ではない、ということである。5,000円基準というのは、会議費か交際費かを判断する基準ではないため、その判定をする前に、実質的に会議費かどうかという判断が必要になる。
●  よくある間違い
  その他の注意点としては、交際費の計上漏れがないかどうかの再チェックである。誤りやすい例としては、飲食店まで得意先と一緒に乗ったタクシー代、社内慰労会の2次会費用、などがある。これらは、旅費交通費、福利厚生費ではなく、いずれも交際費に該当する。
●  年間400万円を大幅に超える場合
  尚、資本金1億円以下の中小企業で、年間400万円を大幅に超えるような交際費が毎期続いているような場合もあるだろう。中小企業なら、社長や役員のための交際費であることが多い。このようなケースなら、定時株主総会時に役員報酬を適正金額の範囲内で増額し、交際費は自費で支払ってもらうようにするのも1つの方法である。ただし、役員報酬を増額すれば所得税も増えるため、どちらが有利かを判断する必要はあるだろう。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2008.04.28
前のページにもどる
ページトップへ