>  今週のトピックス >  No.1633
パート・アルバイトの雇用実態
●  定期昇給は、3割程度
  「株式会社アイデム 人と仕事研究所」の発表によると、パート・アルバイトに対する定期昇給を行った事業所は、3割程度であることが分かった。この発表は、gooリサーチを利用したWebアンケート調査により、パート・アルバイト雇用の実態を把握するとともにその動向を探り、企業や働く人々の参考資料とすることを目的として実施された「平成20年版パートタイマー白書」による。近年、企業におけるパート・アルバイトの占める割合が大きくなっている。これについては、パート・アルバイトの人件費が割安のため活用しやすいのが最大の理由(今回のアンケートでもパート・アルバイトの雇用理由の69.7%が人件費が割安であることを挙げている)である。また、正社員とほとんど同じ仕事をしているパート・アルバイトのいる事業所も7割近くにのぼり、今後もますますパート・アルバイトの活用が広がると考えられる。今回の調査は、企業とパート・アルバイト双方の“生の声”を盛り込んでおり、雇用に関して大変参考になる資料といえるだろう。
●  パート・アルバイトの積極的な活用には程遠い現状
  調査結果をみてみると、パート・アルバイトには、同じ人にできるだけ長く働いてもらいたいと考えている企業が81.0%となっている。このため、パート・アルバイトの定着を図り、やる気を高めるための施策として、企業の過半数が適性や能力に応じて仕事を与えていると答えている。こうしてみると、企業は、パート・アルバイトの活用に前向きに取り組んでいると思われるが、一方で、パート・アルバイトの能力開発の取り組みなどには消極的であり、正社員と同様の教育訓練をすべきであると答えた企業は、23.9%と3割にも満たない結果となっている。また、定期昇給についても正社員へは、6割の企業が行っているが、パート・アルバイトについては、3割程度となっており、パート・アルバイトの積極的な活用というには、まだまだのようである。
  次に、パート・アルバイトの側からみてみると、職場に定着するために有効な企業の施策として、57.8%が「多様な勤務シフトが設定されている」ことを望んでいることがわかった。これは、働きやすいと感じる職場環境として、7割のパート・アルバイトが「勤務時間や勤務日が自分の都合に合わせられる」ことと答えていることからもうかがうことができる。また、パート・アルバイトは、働く上で職場の人間関係も重要と考えており、どんなときに辞めようと思うかの質問には、「職場の人間関係が良くないとき」が最も多い回答で45.5%と約半数近くにのぼっている。
●  企業もパート・アルバイトもお互いのスタンスを明確にすることが必要
  企業で働くパート・アルバイトの割合が、今後もますます増加すると予想される中、企業がパート・アルバイトをどのような位置づけで活用していくかが課題となってくる。パートタイム労働法の改正で正社員との均等待遇などが盛り込まれたことからも、正社員と同様の戦力として活用していくのか、あくまで正社員の補佐的な立場として活用していくのかによって、取り組むべき施策や体制が大きく分かれるところである。パート・アルバイトも、今後は、自分がどういうスタンスで働きたいのかを明確にしたうえで、働く職場選びをしなければならないだろう。
出所:株式会社 アイデム 人と仕事研究所 「平成20年版パートタイマー白書」
http://apj.aidem.co.jp/question/part_timer/20part.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2008.04.28
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