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2008年の新入社員の意識
●  新入社員は年功序列を志向
  (財)社会経済生産性本部は、新入社員の会社やキャリアに対する意識やビジネスシーンでの対応に関する意識調査を毎年継続実施している。このたび2008年春に入社した新人の意識調査の結果が発表された。
  同じ新入社員であっても、入社した年によって意識やその回答結果が異なるが、注目すべき点としては、ここ数年新入社員においては安定志向が強まっているということである。
  まず給与体系について業績主義的か年功的かのいずれかを望むか尋ねると、「業績・能力主義賃金」をよしとするのが57.7%である。絶対数としては高いが2002年調査では73.3%、2007年でも61.9%であったことから年々低下していることになる。一方「年齢・経験を重視する賃金」を好むのが42.3%である。これも2002年の26.7%、2007年の38.1%から一貫して増加している。
●  転職より長期勤続志向
  同じように昇進・昇格についても「仕事の能力で昇格に差がつく会社」を望むのは63.4%であり、2002年は74.6%、2007年は65.6%でこれも低下傾向にある。「経験や年齢で平均的に昇格する会社」は36.6%で、2002年は25.4%、2007年は34.4%でこちらは増加傾向にある。
  2002年はいうまでもなく就職氷河期にあたっており、景気の回復・採用数の増加とともに新入社員の意識は保守化の傾向にあることがわかる。
  転職志向についても収まってきた感がある。「条件のよい会社があればさっさと移る」という設問に対して、「そう思う」は23.4%と少ない。2002年は37.5%、2007年は25.7%だった。「そう思わない」という回答は2002年には62.5%だったが、2007年は74.3%、2008年は76.6%と次第に高くなっている。
  「今の会社に一生勤めようと思う」は47.1%、2007年は45.9%、2002年には27.3%であり、長期雇用志向が高まっている。「きっかけやチャンスがあれば転職したい」は35.2%、2007年は34.4%、2002年には50.5%でありこれも減少傾向にある。
  「将来は社内での出世よりも起業したい」については、「起業したい」が2003年は31.5%だが、2007年は18.3%、2008年は15.8%と減少している。逆に「社内出世」は2003年は68.5%、2007年は81.7%、2008年は84.2%と年々高まっている。
●  就職先選定は規模、知名度重視
  就職先を選定する優先順位についても、「やりがい」は不動の1位であり、65.2%が選択している。しかし2002年の73.0%からは少なくなっている。逆に「規模」が0.7%から8.0%へ増加、「知名度」も0.6%から5.7%へ増加しており、安定志向が確実に増えている。
  同じように「若いうちならフリーターも悪くない」という設問には、「そう思う」は23.5%であり、2007年の25.7%、2002年の37.5%から減少している。「そう思わない」は2002年の61.5%から、2007年の73.6%、2008年の76.5%へ増加している。 このように、新入社員は年々保守化し、安定志向になっている。
出所:財団法人社会経済生産性本部「2008年度 新入社員意識調査」
(可児 俊信 (株)ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.05.12
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