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大卒・短大卒業者の就職率
●  学生の就職希望者は一段と増加
  2008年3月大学等卒業予定者の就職状況を、厚生労働省と文部科学省が調査した。ここ数年新卒の就職率は高くなっているが、今年もその傾向は続いている。
  まず、この春の学校卒業予定者数は大学生では男女合計約53万人で、前年とほぼ同様である。うち就職希望者は約38万人で、前年の約37万人に比べやや増加した。短大の卒業生は約8万人で、うち就職希望者は約6万人となっている。
●  就職率は上限に到達
  大学卒の就職希望者の就職率は96.9%であり、昨年の96.3%、一昨年の95.3%からみて一段と高く、そろそろ天井に近づいた感がある。男子は96.6%(前年と同じ。一昨年は95.5%)と上限に迫っている。女子は97.3%であり、2007年の96.0%、2006年の95.0%、2005年の93.8%からの年々改善している。その結果、女子大生も男子並みの就職率となっている。
  大学について詳しくみると、国公立の就職率は97.5%(2007年は96.3%、2005年は94.4%)、私立は96.7%(2007年は96.3%、2006年は95.5%)と同程度の就職率となっている。文理別では文系が96.6%(2007年は96.2%、2006年は95.1%)であるのに対し、理系は98.5%(2007年は96.9%、2006年は96.3%)と、理系が就職有利となっている。
  一方、短大(女子のみ)は94.6%であり、2007年の94.3%、2006年の90.8%、2005年の89.0%から年々改善しており、大学卒と遜色がなくなっている。
●  就職率の地域差はほぼ消滅
  数年前までは就職率には地域差が見られた。例えば、2005年は就職率の全国平均で93.5%だったものの、関東地区95.3%、近畿地区94.2%、中部地区94.0%に対し、北海道・東北地区87.6%、中国・四国地区91.2%、九州地区91.7%というように大きな差があったのである。
  だが今年は地域差がほとんどなくなっている。関東地区97.7%、近畿地区97.0%、中部地区98.8%に対し、北海道・東北地区が94.4%、中国・四国地区が98.1%、九州地区が93.4%となっており、景気回復が地方にも波及していることが分かる。採用難で地方にも積極的に企業からのアプローチがあったことも一因であろう。
  景気の先行き不透明感が強まる中であっても、 団塊世代の退職と若年人口減により、企業は引き続き採用を活発に行うとみられる。就職率は上限に達していることから、新卒者の奪い合いは一段と過熱するとみられる。
(可児 俊信 (株)ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.05.26
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