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2007年分所得税確定申告書の提出数は過去最高
●  還付申告者数は3年連続で過去最高を更新し1,269万人
  国税庁がまとめた2007年分所得税等の確定申告状況によると、所得税の確定申告書を提出した人は前年を0.5%上回る2,361万6千人となり、9年連続で過去最高を更新した。これは、公的年金受給者や医療費控除・住宅ローン控除の適用者などの増加による還付申告者が増加したことが要因と推測される。還付申告者数は、前年を3.6%上回る1,269万2千人で、こちらも3年連続で過去最高を更新、申告者全体の54%を占めた。
  確定申告書提出者のうち、申告納税額がある人は、前年に比べ5.6%減の776万9千人となり、その所得金額も2.4%減の43兆2,622億円となったが、申告納税額は3.5%増の2兆9,987億円となった。納税人員の減少は廃業増などによる事業所得者の減少、また、申告納税額の増加は定率減税の廃止などが要因と思われる。納税額は4年連続の増加となったものの、ピークの1990年分(6兆6,023億円)の約45%に過ぎない。
●  相続時精算課税制度の適用者は7%増の8万9千人
  所得税申告者のうち、譲渡所得の申告者は前年に比べ4.4%減の141万7千人。このうち所得金額がある人は10.7%減の70万1千人、所得金額は1.2%減の6兆6,328億円となった。このうち、株式等譲渡所得の申告者は3.0%減の91万人、うち所得金額がある人が14.2%減の41万8千人、所得金額は8.5%減の2兆4,127億円だった。これらの申告者を除く土地等の譲渡申告者50万7千人は、前年を6.7%下回っている。
  一方、2007年分の贈与税の申告者は、前年に比べ4.7%減の38万2千人、うち納税額がある人は6.2%減の25万4千人、その納税額は9.9%減の1,060億円だった。1人あたりの納税額は42万円。贈与税の申告者のうち、相続時精算課税制度に係る申告者は7.2%増の8万9千人、うち納税額があった人は2.8%減の5千人、申告納税額は3.8%減の274億円。ほとんどが2,500万円(住宅取得資金3,500万円)の非課税枠内だった。
●  大幅に増加した申告書作成コーナーからの提出件数
  上記のように、年々増加する納税者数への対応として国税庁は、確定申告の基本方針として「自書申告」を推進しており、そのためのIT(情報技術)を活用した施策に積極的に取り組んでいる。
  その目玉は、国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」だ。今年は、操作が分かりやすくなるよう画面の改善を行うとともに、積極的な広報を実施した結果、同コーナーを利用して作成した所得税申告書の提出件数は、昨年を19.1%上回る192万7千件、消費税申告書も22.8%増の8万5千件、今回で2回目となった贈与税申告書は110.6%増の3万8千件と大幅に伸びた。
  同コーナーへのアクセス件数も、前年に比べ23.8%増の1,850万2千件となった。また、同コーナーについては、税務署に訪れる納税者にも利用できるように、相談会場にパソコンを設置しており、これを利用して作成した申告書の提出件数が、所得税で276万5千件、消費税で5万2千件、贈与税で1万件となった結果、同コーナーで作成した申告書の提出総件数は前年比44.7%増の487万7千件と、申告件数全体の約2割になった。
  一方、全国拡大後4回目の確定申告となるe-Tax(国税電子申告・納税システム)は、(1)HPからカンタン申告、(2)最高5,000円の税額控除、(3)添付書類の提出不要、(4)還付金がスピーディ、を積極的に広報するなどの普及拡大に努めた結果、所得税の申告件数が前年の49万1千件から363万4千件へと約7.4倍増、消費税の申告件数が同10万2千件から28万7千件へと約2.8倍増となり、合計392万1千件へと大幅に伸びた。
参考資料:「平成19年分、所得税、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」(国税庁)
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2008.06.02
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