>  今週のトピックス >  No.1653
パートを正社員にする制度を定めて助成金をもらおう
●  中小企業雇用安定化奨励金の概要
  大企業の一部では非正社員を正社員にする動きが出始めたが、中小企業はまだまだ動きは鈍い。というより最近では経営的にかなり厳しいところが増え、逆に雇用調整として契約を解消しているケースもある。
  そのような中で厚生労働省は、中小企業雇用安定化奨励金という助成金制度を平成20年4月1日からスタートさせた。この助成金は、中小企業が、契約社員やパートタイマーなど期間を定めて雇用している従業員を、新たに正社員として転換する制度を就業規則などに定めて、実際に正社員に転換した場合に支給される助成金である。パート・契約社員など非正規社員を正社員にすることを考えている会社には、活用できる可能性がありそうな助成金であり、最近の助成金は使いにくいものが多かっただけに今後の支給申請数が伸びていくのか興味深いところである。
●  中小企業雇用安定化奨励金の支給要件と助成額
  肝心の支給要件であるが、 就業規則を整備している会社であること、そして雇用保険の適用事業主であることなどが挙げられるが、詳細はその他にもいろいろな要件があるので確認が必要である。助成金のややこしいところは、手続き業務が大変なところと制度がよく変わる点なので、その都度確認が必要である。
  それでは、今回スタートした企業雇用安定化奨励金はいくらもらえるのだろうか。気になる助成額は、次のとおりとなっている。

  (1) 正社員への転換制度を導入し、導入後パートなどが正社員になった場合に 一事業主に対し35万円
  (2) 正社員への転換制度導入後3年以内に、3人以上のパートなどが正社員になった場合に正社員になったパートなど1人につき10万円
      (1人目から10人を限度に支給されます)
●  この助成金のポイントは、就業規則の転換条件にあり
  ポイントとしては、4月1日以降に就業規則などに転換条件が明示され、かつ、転換制度の運用が公平であることが必要だ。
  したがって、全ての従業員(対象労働者でない方も含む)に転換条件が明示(回覧や掲示板への掲示など)され、かつ要件を満たす希望者が応募できる制度でなければならない。
  これらの条件が満たされれば対象となるわけだが、余程のことがない限り希望するすべてのパートを正社員化はできないだろう。それでも人手不足の業種もあり、少しでも正社員を増やしたい企業にとっては、今回の助成金はぴったりではないだろうか。これを機会にパートの正社員化が一層進むことを願いたいところである。
出所:厚生労働省「中小企業安定化奨励金」
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2008.06.09
前のページにもどる
ページトップへ