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中小企業経営者のための早わかりリース取引 その2 消費税編
●  リース取引に大改正あり
  前回は、所有権移転外ファイナンス・リース取引が原則として売買処理することとされた改正内容についてお届けした。今回は、実務上関連する消費税の取扱いをはじめ、資産計上した場合の各制度の取扱いについて説明をしよう。
●  平成20年4月1日以後契約するリース取引と消費税
  平成20年4月1日以後契約するリース取引については、原則として売買処理とすることとされたが、これに伴い消費税についても、リース取引の目的となる資産の引渡し時に売買取引があったものとして取扱うこととされた。つまり、消費税計算上、原則課税方式の場合は、リース取引開始初年度にリース料総額分の消費税額を控除することに改正されたのだ。
  なお、中小企業会計指針により、例外的に支払リース料を賃貸借処理する場合においても、消費税は売買処理と同様にリース取引開始初年度にリース料総額分の消費税額を控除することとされた。
  消費税の処理方法については、売買処理であっても賃貸借処理であっても、リース取引開始があった事業年度において仕入税額控除を行うことに統一されたので注意が必要だ。
(計算例)
月額リース料 10,500円(税抜 10,000円)リース期間60カ月
リース料総額 630,000円(税抜600,000円)
リース取引開始初年度のリース料総額に係る消費税額600,000円×5%=30,000円

(売買処理した場合)
リース開始時      : リース資産 600,000円 / リース債務 630,000円
               仮払消費税  30,000円
毎月のリース料支払時: リース債務   10,500円 / 現預金 10,500円

(賃貸借処理した場合)
リース開始時      : 仮払消費税 30,000円 / 未払金 30,000円
毎月のリース料支払時: 賃借料    10,000円 / 現預金 10,500円
               未払金      500円
●  30万円未満の少額減価償却資産の特例
  平成20年4月1日以後契約の所有権移転外ファイナンス・リース取引について売買処理されたリース資産は、減価償却資産となりリース期間定額法により償却することになる。
  ところで、減価償却資産ということは、30万円未満の減価償却資産の一時償却や20万円未満の3年均等償却、10万円未満の即時償却というような制度の適用があるかないか疑問が生じるところである。
  結論としては、30万円未満の少額減価償却資産を一時の損金とする制度の適用はあるが、20万円未満の3年均等償却と10万円未満の即時償却の適用はないのでお間違えのないようにしていただきたい。
●  その他
  所有権移転外ファイナンス・リース取引により資産計上したリース資産については、償却方法がリース期間定額法に限定されることとなったので、圧縮記帳や特別償却の適用はない。
  しかしながら、特別税額控除は所有権移転外ファイナンス・リース取引により資産計上した資産についても適用が可能である。
●  リース税額控除制度は廃止
  ちなみにリース税額控除制度については、所有権移転外ファイナンス・リース取引が売買取引とみなされることに伴い、廃止となった。
  ただし、平成20年3月31日以前契約のリース取引については、適用がある。
(今村 京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2008.06.16
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