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賞与に関する会計・税務のチェックポイント
●  役員賞与に関する近年の改正
  サラリーマンの方々には楽しみな賞与の時期となった。今回は、賞与に関する会計・税務について、近年の改正も織り交ぜて簡単にご紹介していきたい。
  通常、使用人に対する賞与は、全額損金計上することができるが、役員に対する賞与は、原則損金計上することができない。もちろん、会計上は経費として計上されるのだが、税金を計算する上では、経費として認められない。
  それが平成18年度税制改正において、「事前確定届出給与」という制度ができたため、一定の場合には、役員賞与も損金として認められるようになった。ただ、事前に支給時期や支給金額に関する届け出が必要なこと、その届け出た支給時期にその届け出た支給金額を支給しなければ、その全額が損金として認められないこと等があるため、その適用にはなかなか難しい面もある。なお、非同族会社が非常勤役員に支給する年棒等については、平成19年4月1日以後開始事業年度より、事前確定届出をしなくても損金として認められるようになった。
●  未払でも認められる決算賞与
  賞与については、通常はその支給した事業年度において損金計上が認められるが、一部未払いでも計上が認められる場合がある。それが以下の要件を満たした場合である。
(1)その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること。
(2)(1)の通知をした金額を通知したすべての使用人に対しその通知した日の属する事業年度終了の日の翌日から1カ月以内に支払っていること。
(3)その支給額につき(1)の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

  この要件を満たせば、決算期末において未払であっても、賞与として計上することができる。この場合には、(1)の通り、「支給額をすべての使用人に対して通知する」必要があるため、通知したことを税務署に対して証明できる書類を何か残しておくことが望ましい。
●  賞与に関する実務
  最後に、賞与支払に関する経理実務を確認しておきたい。
  まず、賞与から天引きする源泉所得税は、毎月の給料の源泉所得税とは計算方法が異なる。給料の場合には、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を見て、源泉所得税を計算するが、賞与の場合には、そもそも見る表が違ってくる。賞与は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から、前月の社会保険料等控除後の給与等の金額を元に計算することになる。
  また、賞与を支払った後は、5日以内に「賞与支払届」を社会保険事務所に提出しなければならない。これを出さなければ、賞与に対する社会保険料が納付漏れになってしまうため、注意が必要である。
  最後に、会計上の話を付け加えておく。賞与は支払った時に経費にすると、その月だけ利益が大幅に減ることになる。毎月の利益を平準化するためには、年間賞与を12で割った金額を毎月、賞与引当金として計上しておくことが望ましい。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2008.06.23
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