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地方分を含まない消費税中間申告の判定の年税額
●  確定消費税額が48万円を超えると中間申告が必要
  消費税の申告・納付期限は、個人事業者の場合は課税期間の翌年の3月末日、法人の場合は課税期間の末日の翌日から2ヵ月以内とされている。6月決算法人であれば8月31日が納期限となる。ただし、これは前課税期間の確定消費税の年税額が48万円以下の場合で、48万円を超えると年税額に応じて1〜11回の中間申告が必要になる。注意が必要なのは、これを判定する年税額には地方消費税分が含まれていないことだ。
  したがって、中間申告が必要のない前課税期間の消費税の年税額は、地方消費税も含めれば60万円以下ということになる。年税額が48万円を超え400万円以下の法人は年1回の中間申告が必要だが、地方消費税を含めて60万円以下の年税額の法人は年1回の申告・納付でいいわけだ。一般的に消費税額というと、地方消費税も含めたところで考えがちなので、勘違いしてしまうケースも少なくない。
  つまり、地方消費税を含めたところで判定すれば、年税額が60万円を超え500万円以下の法人は年1回の中間申告となる。その納付期限は、中間対象期間の末日の翌日から2ヵ月以内である。6月決算法人であれば2月末日となる。中間納付税額は、計算の基となる年税額には地方消費税分が含まれていないので、「前課税期間の確定消費税の年税額の1/2」に「1.25」を乗じたものとなる。
  そのほか中間申告の回数については、前課税期間の消費税の年税額が400万円(地方消費税を含めると500万円)を超え4,800万円(同6,000万円)以下の法人は年3回、4,800万円を超える法人は年11回となる。年11回の中間申告が必要な法人の納付期限は、その課税期間開始後の1月分は、その課税期間開始の日から2ヵ月を経過した日から2ヵ月以内。6月決算法人であれば、7月分は8月分と同じ10月末日ということになる。
●  仮決算を組んで申告できる消費税の中間申告
  ところで、突然、税務署から消費税の中間申告分の納付のお知らせが来て驚かれた経験はないだろうか。消費税法では、上記のように、前期の確定消費税額が48万円(地方消費税を含めると60万円)を超えると、年1回の中間申告が必要となる。
  こうして、これまで年の消費税額が48万円以下だった経営者は年1回の申告で済んでいたのに、前課税期間の納税実績が48万円を超えた場合は税務署から中間申告分の納付のお知らせが来て、そんな仕組みが念頭になければ驚いてしまうわけだ。
  急に消費税の納税資金を手当てしなければならないだけでなく、実際のところ、前課税期間の納税実績が、業績の悪化などによって当期の業績にそぐわないということも少なくない。業績が悪化していて売上が落ちていれば、預かる消費税も当然減ることになり、前課税期間の納付実績との差額を企業側で負担しなければならなくなる。
  しかし、こうした場合は、消費税の中間申告を、税務署から通知された前課税期間の実績に基づく金額ではなく、現在の試算表を基に仮決算を組んで、あくまでも「当期の課税売上高」をベースに中間納付額を算出して申告することもできる。
  消費税の中間申告が年3回や年11回の企業では、その都度仮決算を組むとなると事務処理が増えてコスト面などから難しいが、年1回の企業であれば、法人の中間申告に合わせて仮決算を組むことになるので効率的といえる。なお、仮決算を組んで中間納付額を計算した結果、控除不足額が生じても還付はされない。還付は、あくまでも、年間を通じて控除不足額が生じた場合のみだ。この場合は消費税額を「0」として申告することになる。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2008.06.23
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