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育児・介護社員への支援制度
●  休業者への柔軟性のある休業制度は充実
  社会経済生産性本部では、毎年、「日本的人事制度の変容」をテーマに、全東証上場企業に対して、人事制度についてアンケート調査を実施している。このたび、2008年に実施した調査結果がまとまったので報告する。
  企業が取り組んでいる育児・介護を行っている従業員を支援する制度については、労働時間や休業など、時間面でのフレキシビリティがかなり進んでいることが分かった。
  育児介護休業法が定める以上の育児休業・介護休業を認めるのは、回答全体の57.8%にのぼる。5,000人以上の企業に限れば83.3%である。また同じく同法が定める短時間勤務取得期間を超える取得を認めるのも54.3%(5,000人以上企業では86.7%)である。配偶者出産休暇は65.9%が導入済み(5,000人以上企業では90.0%)、子の看護休暇制度の導入は74.0%(5,000人以上企業では100.0%)である。企業規模によって制度導入率に差があるものの時間面でのフレキシビリティは進みつつある。
●  休業者への勤務場所面での柔軟性はまだまだ
  一方、勤務場所面でのフレキシビリティはまだまだである。
  育児・介護のために在宅勤務制度の導入率は2.9%(5,000人以上企業では6.7%)、事業所内託児所の設置率は4.6%(5,000人以上企業では10.0%)、配偶者の転勤に応じて勤務地を選択できる制度は11.6%(5,000人以上企業では10.0%)となっており、導入率は低い。
●  休業者の復職支援はいまひとつ
  次に育児・介護で休業している従業員に対する支援制度の実施率については、まず休職前・復職時における上司等との面談を実施しているのは50.3%(5,000人以上企業では73.3%)、休職者の人事評価・昇格基準の改善は39.9%(5,000人以上企業では53.3%)、休職期間中の情報提供やコミュニケーションは29.5%(5,000人以上企業では59.7%)などとなっている。休職者への復職に向けた支援は全体では導入率はいまひとつではないか。
  また育児・介護を理由に退職した従業員に対しても再雇用の機会を提供しているのは26.6%(5,000人以上企業では46.7%)である。
出所:(財)社会経済生産性本部「第11回 日本的人事制度の変容に関する調査結果概要」(2008年6月発表)
(可児 俊信 (株)ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.06.30
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