>  今週のトピックス >  No.1667
新入社員の就職先選択
●  インターネットで就職情報を収集
  財団法人社会経済生産性本部では、毎年、新入社員を対象とした調査を実施している。ビジネスを取り巻く環境が大きく変わっているなか、社会人一年生の意識とはどのようなものだろうか。
  まず、就職先探しの方法をみると、多くのメディアから同時に情報収集している様子が伺える。最も多いのは「企業のホームページ」で85.7%(前年度調査では83.9%、前々年度では79.1%)、並んで多いのが「会社説明会」の83.3%(同85.2%、同80.2%)だ。次が「インターネットでの就職関連サイト」80.6%(同79.0%、同74.5%)、「企業の採用パンフレット」で77.3%(同76.3%、同73.8%)、と続く。この4つのメディアが最も多く利用されており、ほかには「学校への求人票」が53.6%(同53.0%、同58.0%)、「就職情報誌」が46.6%(同45.9%、同44.1%)、会社四季報などの「一般書籍」37.4%(同38.0%、同33.2%)となっており、昨年の調査結果とほとんど変化がなく、情報収集方法が定着していることがわかる。
  そのなかでも企業のホームページを活用する学生が年々増加している。特に4年制大学の学生に限ってみると「企業のホームページ」が93.6%(同93.2%)、「就職関連サイト」が96.4%(同95.9%)と、ほとんどの学生がインターネット経由での情報を活用していることになる。
  またホームページや就職サイトなどインターネット関連のメディアの利用が高まる一方で、説明会などや紙媒体の活用も衰えておらず、就職情報入手のルートが増えていることがわかる。
●  自分を成長させられる会社を選択
  こうして得た情報をもとに就職先を選択する際の基準については、「自分の能力・個性が生かせるから」が最も多く全体の28.3%(前年度28.2%、前々年度30.2%)、次に「仕事がおもしろいから」が23.8%(同21.3%、同21.6%)、「技術が覚えられるから」が13.6%(同14.1%、同14.1%)と続く。
  以前は「会社の将来性があるから」が最も多い回答だったが、今は8.7%(前年度は9.0%)に過ぎない。会社の将来に自分の将来を託そうという学生は減っているのだ。かつては「会社の成長イコール自分の成長」だったわけだが、そうした意識に代わって、「会社で自分がどれだけ成長できるか」が選択基準になっている。
●  仕事は自己実現の場
  就労意識に関する質問に対して肯定的な回答の割合をみると、「仕事を通じて人間関係を広げていきたい」が95.9%(前年度95.4%、前々年度95.9%)、「社会や人から感謝される仕事がしたい」が94.5%(同92.9%、同93.8%)、「どこでも通用する専門技能を身につけたい」が92.6%(同93.1%、同93.3%)、「終身雇用の時代ではないので会社に甘える生活はできない」が82.8%(同85.6%、同86.3%)と続く。新入社員は仕事を「生活安定の場」ではなく、「自己実現の場」ととらえていることが分かる。
出所:財団法人社会経済生産性本部「平成20年度新入社員の『働くことの意識』調査結果」
(可児 俊信 (株)ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.07.07
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