>  今週のトピックス >  No.1669
勤務先のワークライフバランス取組み、約7割が「していない」
●  転職の際に「ワークライフバランスを考慮する」は、87%
  人材紹介会社のエン・ジャパン株式会社は6月17日、ワークライフバランスに関するアンケート調査結果を発表した。現在の勤務先、もしくは直前の勤務先のワークライフバランス支援の取組みをたずねたところ、68%が「していない」と回答、「取り組んでいる」という16%の回答を大きく上回った。働く側からみると企業のワークライフバランス支援への取組みが進んでいないようであるが、実際各企業もワークライフバランスの重要性には気づいており、このような調査結果を受けてどのように行動するかは分かれるところであろう。
  また調査結果によると、転職を検討する際、「ワークライフバランスを考慮する」人は87%と高く、考慮すると回答した人に、どんな点を考慮するか質問したところ、「休日休暇」(82%)と「労働時間(残業時間)」(78%)の2つの回答に集中した結果となり、育児支援制度、介護支援制度はそれぞれ17%にとどまった。
●  全体の1日の平均労働時間は、「10.1時間」
  新聞などでは企業のワークライフバランス施策の導入の記事を見かけることが多いが、実際労働時間は、減っているのだろうか。今回の調査結果によると全体の1日の平均労働時間は、「10.1時間」となり、1年前の同調査(9.9時間)に比べて、若干労働時間が増えている。1日の通常の労働時間を仮に8時間と考えた場合、平均2時間は残業をしている計算となる。
  また労働時間に対し「ちょうどよい」と思っている人は全体の48%、「長い」と感じている人は、50%となった。年代別の回答では、20代〜40代までは「長い」という回答が50%を超えたものの、50代の「長い」という回答は44%となった。
  帰宅後の1日の平均自由時間についてたずねると、全体で「2.0時間」という回答。この自由時間に対し「やや不満」としている回答は、全体で32%、年代別で比較すると、50代が最も高く36%となり、30代は34%、40代は31%、20代は30%となった。これらの自由時間を活用できれば、仕事への良い効果にもつながるのでワークライフバランスの視点では、その時間の長さとともにその活用内容は重要なポイントでもある。
●  ワークライフバランス推進のためには、企業の真剣に取り組む姿勢が重要
  ワークライフバランスの実現のためには労働時間の短縮は重要なテーマの1つであり、そのための必要な施策は、いろいろ考えられる。例えば、ノー残業デーの設置、在宅勤務制度(テレワーク)の導入、育児休業中の残業制限などがあげられる。しかしながら上記のような制度をせっかく導入してもうまく運用できなければまったく意味がないし、効果も生まれない。
  今後労働力人口が少なくなり、さらに人材獲得競争が激しくなるにつれて、ワークライフバランスへの取組みが進んでいないところは、新規の採用などには不利になる可能性がある。最近は「働きがい」よりも「働きやすさ」を重視し、安心して長期的に自分らしく働ける会社を選んでいる傾向もあり、今回の調査結果にもその傾向は一部あらわれている。
  ワークライフバランスへの取組みには、いろいろな種類があるのでまずはワークライフバランスの目的を従業員によく浸透させ、従業員の声を反映させた望ましい制度や施策を設計導入できるように各企業には努力してもらいたいところである。
出所:人材紹介会社集合サイト『[en] 転職コンサルタント』ユーザーアンケート調査
 〜「ワークライフバランス」に関するアンケート調査報告〜
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2008.07.07
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