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フラット35の利用者の平均像
●  融資上限は8,000万円
  住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)は、フラット35の利用者の平均像について定期的に調査している。このほど2007年10〜12月におけるフラット35の利用者についての報告がまとまった。
  フラット35は、民間金融機関の住宅ローン債権を住宅金融支援機構が買い取って証券化するもの。機構は買い取った債権を担保に住宅ローン担保証券(MBS)を発行し、それを機関投資家に販売する。フラット35は、民間の融資を側面支援することに狙いがあり、民業圧迫の懸念が小さい分、従来の公庫融資より融資条件が緩められている。
  例えば、従来の融資上限は原則3,500万円だったが、フラット35は8,000万円に上がった。融資率(住宅価格に対する融資額の割合)の上限も9割に高まった。貸出金利も機構が住宅ローン証券の発行金利などをもとに下限を定め、各金融機関が独自に手数料を上乗せする方式となっている。年収に対する総返済額の割合も35%(年収400万円未満は30%)である。また融資期間は15年〜35年(または完済時80歳まで)に広いうえ住宅の床面積の上限はない。
●  対象物件は戸建、マンションなど多様
  報告によれば、上記期間内に9,511件の融資実績(機構からみれば債権買取実績)があった。このうち、アンケートに回答した者は2,803名である。回答者の属性は年齢が平均で38.7歳、世帯年収が676万円、家族数が3.2人である。借入内容は借入額が2,240万円、返済負担率は20.7%となっている。
  その借入目的別の内訳は、注文住宅が30%、新築マンションが27%、土地付注文住宅が22%、建売住宅が14%となっている。
  2007年度の第1回調査では、新築マンションが回答全体の53%、注文住宅が18%、土地付注文住宅が16%、建売住宅が9%などとなっており、マンションブームを反映した内容となっていた。
  フラット35を取り扱う金融機関は、ノンバンクが全体の50%、都銀・信託が27%などであり、ノンバンクの取り扱いが多い。銀行は自行で直接融資をしたいためであろう。
●  金利固定が最大のメリット
  住宅ローンのなかでフラット35を利用した理由を尋ねる(複数回答)と、回答者の75.5%が「将来の返済額が確定」していることを挙げている。つまり、固定金利が最大のメリットとされている。そのほかに「繰上返済手数料・保証料が不要」が39.2%、「住宅事業者が勧めた」が36.2%、「金利が低い」が24.9%などと続く。ただし、2007年2月融資実行分の利用者に対して行った調査では、87.1%が「将来の返済額が確定」していることをメリットとしてあげており、返済額固定のメリットが薄れていることがわかる。「繰上返済手数料・保証料が不要」というのも前回調査では45.5%であったが、その回答割合も減っている。逆に「業者が勧めた」が26.3%から36.2%に増えており、フラット35導入当初は業者は面倒がっていたが、次第に勧め始めているのかもしれない。
  一方で、フラット35に対する利用者の不満を回答させると、最も多いのが「申し込み時金利ではない」(56.3%)であり、3人に2人が不満としている。フラット35は実行時の金利が適用されるからである。次に「繰上返済額の下限が100万円(で高い)」が27.2%、「団信の保険料が金利と別(であり含めてほしい)」が23.6%、「融資・審査に時間がかかる」が21.9%などと続いている。
出所:住宅金融公庫「平成19年度フラット35利用者アンケート調査報告(第4回分)」
(可児 俊信 (株)ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.07.14
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