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2008年分路線価は3年連続上昇の全国平均14.3万円
●  三大都市圏の上昇により前年比10.0%増
  全国の国税局・税務署で7月1日、相続税や贈与税の土地等の課税評価額の基準となる2008年分の路線価および評価倍率が公表された。全国約38万地点における標準宅地の平均額は、ここ数年来同様、「大規模再開発」、「交通の利便性」といった『人の集まりの良い所』の地価の上昇により、前年を10.0%(1万3千円)上回る1平方メートルあたり14万3千円と、06年分から3年連続の上昇となった。
  圏域別にみると、東京圏は35万1千円(前年比+14.7%)、大阪圏が17万5千円(同+7.4%)、名古屋圏が12万2千円(同+10.9%)とそれぞれ大幅に上昇。標準地の変更もあり大阪圏のみ前年の上昇率を下回ったものの、右上肩上がりで上昇を続けている。一方、地方圏は、08年分も5万2千円で前年同様の横ばいとなったが、都市部を中心とした地価回復傾向が地方でも感じられ、下げ止まりが一層顕著となってきている。
●  下落幅拡大県は11県に増加
  都道府県別の平均路線価の変動率をみると、東京都が+17.8%と4年連続で上昇したことをはじめ、宮城県6.8%→12.5%や神奈川県3.7%→7.8%、静岡県0.0%→4.2%などで大幅に上昇したほか、14都道府県で上昇、石川県や岐阜県など4県で横ばいとなった。
  しかし、前年大分県のみだった下落幅拡大県は、青森県や岩手県、山形県、山梨県、島根県、山口県など11県に増え、横ばいだった愛媛県は再び1.7%の下落となるなど、地方圏のなかでも格差がみられた。
●  最高路線価日本一は23年連続で東京「銀座中央通り」
  都道府県庁所在都市の最高路線価では、東京・中央区銀座5丁目の「銀座中央通り」が23年連続で全国トップ。1平方メートルあたりの路線価は前年に比べ+27.6%の3,184万円と、7年連続の上昇。1992年(3,650万円)のバブル期の数字に近づいた。
  以下、大阪・北区角田町「御堂筋」960万円(前年比+37.9%)、名古屋・中村区名駅1丁目「名駅通り」760万円(同+23.4%)、横浜・西区南幸1丁目「横浜西口バスターミナル前通り」728万円(同+38.4%)、福岡・中央区天神2丁目「渡辺通り」629万円(同+22.9%)などの順となっている。
●  路線価図等の冊子での公表は廃止、インターネットで閲覧
  ところで、この路線価の公表日は、昨年は8月1日だが、今年は1ヵ月も早まっている。相続税申告に必要な路線価の公表が早くなることは納税者にとって歓迎すべきことだが、一方で、本年からは紙による路線価図等(冊子)を国税局・税務署に備え付けないことになったので留意したい。公表日が1ヵ月短縮された理由は、冊子での路線価図等の制作をやめたことで、その作業時間分が浮いたことにある。
  公表日の短縮で納税者の利便性も向上したが、国税当局も、IT化、ペーパレス化によって大きなコスト削減ができたことになる。今後、国税局や税務署の窓口には、路線価図等閲覧用のパソコンが設置されるという。混雑時は待つ必要も出てくるが、自宅や会社のパソコンから国税庁のホームページの「路線価図等の閲覧コーナー」にアクセスすれば、従来どおり、全国の過去3年分の路線価図等を見ることができる。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2008.07.14
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